新型コロナウイルス感染が中国を中心に拡大する中、自分用のマスクを一定数入手しておこうかと思い、近所のコンビニやドラッグストアを回ると、マスクがどこも売り切れていた。

他者からの感染を「予防」「防止」する目的でマスクを購入している人が多いと思われるが、実は、マスクをめぐっては「そもそも、他者からのウイルス感染を防ぐ対策として装着することに意味があるのか」という議論もあるようだ。

さまざまなメディアやサイトなどで医師や専門家の同議論に関する見解をチェックしてみると、(インフルエンザなどの)ウイルス感染の「予防」目的として(一般的な)マスクを装着することを推奨している人は、少ない印象だった。むしろ、ウイルス感染予防としてのマスク利用は、「効果をあまり期待できない」「感染を防ぐことができるか疑問だ」という趣旨の指摘が目立った。

例えばインフルエンザウイルスなどは、一般的なマスクをすり抜けてしまうとされる上、微粒子をかなりブロックできる医療用の高性能マスクは正しい装着やその継続が難しい、などの問題などもあるようだ。

また、マスク装着により「リスク」が増す可能性もあるのでは、という声もあった。マスクをつけて呼吸し続けることで、マスク表面にウイルスなどが多数付着してしまい、それを触ってしまうことで感染危険度が増大するということのようだ。

とはいえ、部分的に「効果があるかもしれない」という意見もあった。一般的なマスクでも、至近距離でくしゃみをした人の唾液飛沫などを物理的にブロックしうる可能性が期待できる。

また、人は1日の間に無意識的に何度も顔を触り、それが目や鼻、口などからのウイルス感染の原因になることもあるとされるが、マスク装着により指が直接鼻や口にタッチしなくなるため、一定程度の「ウイルス感染防止効果」があるのでは、という見方だ。またマスクをすることで、のどや鼻などへの保湿効果が生まれうるとの分析もあった。

一方、感染者が、他人にウイルスをうつさないためにマスクを装着することには「意味がある」との見方が多かった。感染者が、きやくしゃみなどを通じてウイルスを含んだ飛沫を物理的に拡散させにくくなる、ということで、感染拡大を抑止することにつながると推察できる。

専門家の間でも微妙に意見が違っていたりして、そもそも新型コロナウイルス自体がまだ、実態が完全に解明しきれていない部分があると目されるため、マスクとウイルス感染をめぐる件は、何が完全な「正解」かは断定しにくい側面もありそうだ。

筆者自身、近年通常時はほとんどマスクをしないのだが、かつてマスクを装着して歩行した際、歌舞伎町で1回、池袋で1回、職務質問を受けた
筆者自身、近年通常時はほとんどマスクをしないのだが、かつてマスクを装着して歩行した際、歌舞伎町で1回、池袋で1回、職務質問を受けた

日本の首相官邸の公式ホームページにアップされた「新型コロナウイルス対策」の解説を見ても、マスクについて「咳やくしゃみによる飛沫及びそれらに含まれるウイルス等病原体の飛散を防ぐ効果が高いとされています。咳やくしゃみ等の症状のある人は積極的にマスクをつけましょう」と呼び掛けており、感染者が装着することは推奨。

しかし、「予防用にマスクを着用することは、混み合った場所、特に屋内や乗り物など換気が不十分な場所では一つの感染予防策と考えられますが、屋外などでは、相当混み合っていない限り、マスクを着用することによる効果はあまり認められていません」としており、「予防目的でのマスク着用」は強くは推奨していない。

で、どうすればいいのかという話だが、予防対策として、多くの専門家はほぼ共通して「こまめな手洗い」と「できるだけ手で顔を触らない」ことを呼び掛けていた(※この件も部分的な異論や異説もあり、絶対正しいと言っているわけではありません)。

また、コロナウイルスには「エンベロープ」という膜があるため、エンベロープを破壊しウイルスを不活性化することができる、高濃度のアルコールによる手指の消毒も有効とされるようだ。

ちなみに筆者は「きれい好き」な性分を背景に、かつて「除菌スプレー特集」を本紙に1ページ書いたこともあるなど、素人ながら“除菌研究”を細々と続けてきた。

長年にわたり、日ごろ、濃度70%以上のアルコール除菌液(=ちなみに、一般的にアルコールが効きにくいとされてきた「ノンエンベロープウイルス」であるノロウイルスなどにも効果があるとされる成分が加えられた、強化型アルコール系除菌商品)や、強力なウイルス除去作用を持つとされる弱酸性の次亜塩素酸水などを持ち歩き、手指やスマホ、身の回りの用品などを除菌しまくっている(=個人的には高濃度アルコールは使いすぎると皮膚が荒れるが、弱酸性次亜塩素酸水の場合はあまりダメージがない)。

ここまで、われながら“意識高い系”防疫活動にいそしんでいたにもかかわらず、今シーズン、文化社会部の先陣を切り、早々と昨年10月末、インフルエンザに罹患(=過去2度目)したという結末を迎えたことは、ここで正直に告白しておきたい。

周囲からは「あれだけ“除菌活動”しているのに結局インフルになってるじゃん」とか「除菌しすぎて逆に、ウイルスに対する耐性がなくなっているんじゃないの。本末転倒よ」などとさんざんな言われようだったが、自己分析すると、「無意識的に鼻をほじくる癖がある」ことが原因ではないかとにらんでいる。

前述の通り、手指についたウイルスが目や口、そして鼻から感染するパターンも多いと言われる。手は1日50回くらい洗っているので、今後とれる感染対策として「一日中、意地でも鼻をほじらない」をまずは徹底したい。

【文化社会部・Hデスク】