人類で初めて永遠の命を得た女性を、芳根京子が演じた。

大きく2つのパートに分かれている。前半は、亡くなった人を在りし日の姿のまま保つ特殊な技術に出合った主人公のリナが、その技術のスペシャリストになっていく。後半は、技術が進み、リナが老化抑止処置を受け年を取らない選択をした後が描かれる。

生と死を描くが、前半と後半では、主人公の心持ちも違えば、見る側の揺さぶられ方もまるで違う。永遠の命を得たら人はどうなるか、または、そのチャンスがあれば自分ならどうするか。後半は難題ばかりを思っていた。

不老不死を得ることが当たり前になった世の中になった後半の方が、リナが感情を発露させ、悩み迷い、周囲の人々とのやりとりが生き生きと、生々しくなってくるのが興味深かった。

冷静で強靱(きょうじん)に見えるリナの心の中に、びゅうびゅうと吹き荒れる若いころの苦い記憶が根付いていると分かる場面は忘れがたい。

日本だけど、どことも言えないような風景がSFファンタジーに合っている。でも、本当にファンタジー? やはり考える。自分ならどう選択するか、と。【小林千穂】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)