ホラーシーンも怖いが、描かれた内容が実話というのが恐ろしい。1981年に家主を22度刺して殺害した19歳の青年が「人を殺したのは悪魔に取りつかれたせい」と無罪を主張し、全米を揺るがせた事件を映画化。青年の主張する「悪魔の存在」を証明するため、実在の心霊研究家エド&ロレイン・ウォーレン夫妻が調査に乗り出す。

警察と協力しながら真相を明らかにしていく過程で、夫妻は、とてつもなく“邪悪な何か”に極限まで追い詰められていく。絶妙な効果音、不気味な音楽…。「来るぞ!」と分かっていても、身体がビクッとなってしまった。つくられたホラーではなく、実際にあった怪奇現象、超常現象ということが、怖さを倍増させる。

「エクソシスト」など名作ホラーを感じさせるオマージュシーンもちりばめられている。悪魔に取りつかれた少年が見せる“悪魔ブリッジ”、ウオーターベッドに横たわる少年の後ろに不気味に浮かび上がる謎の顔…。法廷シーンが短めなのは少し残念だが、すさまじいクライマックスに目を閉じそうになった。これは実話なのか…。これは恐怖映画だ。【松浦隆司】

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