「エビルマン」「デストロイカー」「ふぐ面デスラー」など魚介類をモチーフにした覆面レスラーたちが所属するプロレス団体「海鮮プロレス」が堺中央綜合卸売市場(堺市北区)に設立され、今夏で3年目に突入しました。

 市場活性化へ各地から出演依頼が相次いでいます。仕掛け人で同プロレスの責任者の華房賢治さん(45)に話を聞きました。

 今月21日、大阪府吹田市の大型複合施設「EXPOCITY(エキスポシティ)」。特設リングではエビ、イカ、タコ、マグロがはね回っていました。マグロをモチーフにした「高速! マグロジェット」が得意技「カマトロネックブリーカー」を繰り出すと、エビをモチーフにした「エビルマン」が見事なエビ反りを見せます。覆面レスラーの鮮度バツグンの技に観客は大いに沸きました。

 海鮮プロレスは15年7月の「海の日」に旗揚げされました。「試合を通して、鮮魚のおいしさや市場を盛り上げる後押しがしたかった」と華房さん。海鮮プロレスのアイデアは、水産会社のキャラクターを手がけたことがきっかけでした。各地の港にはおいしい水産物があり、魅力的な市場が多いことを知り、知人の大阪プロレス創始者で大阪府和泉市議のスペル・デルフィンに相談。「プロレスで鮮魚の魅力を伝えよう」と決めました。

 市場活性化への「大技」を繰り出し続けたことで、認知度も上がってきました。愛媛県、大分県などへの全国遠征も増え、「定期イベント」として開催されるようになった市場もあります。各地から「市場を盛り上げてほしい」との出演依頼も相次いでいます。

 華房さんは「これまでは戦隊ショーなど市場とはあまり関連性がないイベントも多かった。海鮮プロレスは、市場を訪れた人すべてが対象。老若男女を問わず楽しんでもらえます」。市場のニーズと海鮮プロレスのピチピチ感が、ピタリと合ったようです。

 大型複合施設などで「魚介類」をテーマにしたイベント出演も増えました。先日のエキスポシティのイベントでは、「魚に触れる」をテーマに特設プールをリングの横に設置。「ウナギ・キャッチプール」と題し、ウナギを手にする機会をつくりました。初めてウナギを手づかみした子どもたちは、ぬるぬるした手触りに驚きの声を上げていました。

 遠征を求める声が増えたことに、イルカをモチーフにするデルフィンは「ゆるキャラでは表せない生の人間のバトルで鮮度を伝えたい」。3年目を迎えた海鮮プロレス。これからも鮮度がますます上がっていきそうです。

【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)

海鮮プロレスの責任者で仕掛け人の華房賢治さん(撮影・松浦隆司)
海鮮プロレスの責任者で仕掛け人の華房賢治さん(撮影・松浦隆司)