モデル滝沢カレン(27)がテレビ東京系教養バラエティー「ソクラテスのため息~滝沢カレンのわかるまで教えてください~」(水曜午後10時)で初冠番組に挑んでいる。バラエティーで一気にブレークし、テレビで見ない日はないほどの人気ぶり。多忙な彼女の今に迫った。

★教科書と机が嫌い。学生時代遊び優先

先月から始まった「ソクラテス-」は、滝沢が抱く経済や旬のニュースに関する疑問に対して、村尾信尚氏(64)ら専門家が丁寧に解説していく番組だ。過去2回の特番を経てレギュラー化した。はじけんばかりの笑顔で初冠番組決定の喜びを語った。

「『滝沢カレン』が題名に入ってることに執着しちゃったので、うれしい! と思って。その後(のサブタイトル)はどう書いてもらおうが私は何でもよかったので。『滝沢カレン』っていう番組名があった時に、はあ、うれしい! って思ってしまいました」

「わかるまで教えて」というサブタイトルも、気にいっている様子だ。

「私にとってはラッキーな話だなって。何となく分かりました、で帰ることはないんだって思ったらすごくうれしいことでした。滝沢カレンが分かるまで帰れません、って言ってるようなものなので」

「年金」から「歌舞伎」まで、話題は多岐にわたる。意識的に時事問題に興味を持ち、ニュースを見るようになったという。

「やっぱりゼロで何かをするよりは、1個だけでも積み木が積もっていた方が乗せやすいじゃないですか。スポーツはあんまり見てなかったんですけど。野球、ラグビーとか何かしら見るようにしています」

「分からないことが多い」と正直だが、知識を得ることに前向きだ。

「知っている27(歳)より、何も知らない人の27(歳)ってこんな楽しいんだっていうことがあって。誰かが話していることも知らないと、何それ? って思える。(番組を通して)うわべの知識がうわべじゃなくなるって、『知識はあります、私には』って言えることだと思うので。薄っぺらい人生だったけど、ここに来てだんだん上の方に広がってくれるのが、一番いいと思います」

祖母から「勉強しなさい」と言われても、遊びを優先する活発な少女だった。

「1個1個の教科書を本当にちぎりたかったし、家に持って帰るのも嫌だったくらい、教科書とお勉強と机が嫌だったんです。あの時はアリとかダンゴムシが友だちだと思ってる時代、まさかな考えなんですけど(笑い)。教科書だって今取っておいたらすっごい楽しい本になって、手本のようなものなのにって思うんですけど。でも、きっとあの時代では絶対どっちみち気づけなかったこと。それはもう仕方ないと思うんです。来世で小学校の人になっても、きっと同じことを思うので」

芸能界に興味があり、中学時代はスカウトされることを目的に渋谷に出かけていた。

「スクランブル交差点にスカウトされに行きたくて。されに行ったら、してくれて。うれしかったです。全部の(芸能事務所)の会社に手紙と写真出しましたし」

高校入学後、芸能事務所に所属。モデルとしてスタートを切り、15年日本テレビ系「踊る!さんま御殿!!」のトークで一躍注目を浴びる。バラエティー出演は念願だったが、モデルとして一定の地位を得るまでは出ないと決めていた。

「(バラエティー番組への主演は)ご褒美のようなものだったのでモデルも頑張れた。(モデルとして)何も出ないでテレビをやったら、何の人なんだって見られちゃう。雑誌の撮影が月に5回あるということが目標でした」

★背伸び、無理せず「本業モデル」で筋

今ではバラエティーに引っ張りだこだが、本人に好感触はないようだ。

「手応えを感じたことは1回もないです。いいなと思う日もなければ、ダメだって思う日もないですよね、テレビって。それが不思議なところです」

放送チェックも必要以外はしない。現場で感じたこと、一瞬一瞬、目に見える今を大切にしたいという。

「私はそこにいたので。いたものをもう1回見るよりも、いたことの方が私は残しておきたいこと。私は結構、上の方の(新しい)記憶でつないでいくパターンなので。2つの思い出を差し替えってできないので、そしたら、さんまさんと目で合った時の方を覚えていたいじゃないですか」

10月からTBS系ドラマ「G線上のあなたと私」(火曜午後10時)で連ドラ初となるレギュラーを務める。女優も夢の1つだった。

「レギュラーの女優さんとして今、やれている。(スカウトが)15歳くらいだったんですけど、あの時の夢がやっと今かなった」

テレビ朝日系バラエティー「松之丞カレンの反省だ!」(土曜深夜0時10分)も、不定期放送から今秋レギュラー化した。講談師神田松之丞(36)との共演にも刺激を受ける。

「めちゃめちゃ勉強になります。松之丞さんには、人間として出会ってよかった。あの人は、講談をやっているから『すごい』ってことじゃないなって思います。36歳なのにドンとなってる。貫禄がすごいんです」

さまざまな出会いがあるが、「さんま御殿」のスタッフから指摘された言葉が支えになっている。

カレンはそのままでいい-。

「その人の言葉を聞いたら、バラエティーは頑張らなくていい、そのままでいいんだって。人に質問する内容はすっからかんだとダメかもしれないですけど、自分がいる意味とか、自分の立場とかは背伸びしたくないし、無理もしたくない。そうしたら自然とホッとできる場になっていくかなって思ってます」

小学生の頃からお笑い芸人が好きだった。一番は「志村けんさん」。高校時代はお笑いトリオ、ジャングルポケット斉藤慎二(37)を見るために劇場に通った。

「バラエティーに出たら、初めてすごさを知る。タイミング良くいいこと言ってくれたり、私たちを助けてくれたり。この人たちってただ面白いだけじゃなくて、すっごい頭もいいし、すごいタイミングを見てるんだってことが判明しました」

常に自然体。笑いを狙った発言はできない。

「それができたらすごいなって思いますし、タイミングとか知れたらもっと楽しいのかなって思いますけど。やっぱり絶対できないですし、それは芸人さんの仕事かなって。私は私なりでいいのかなって、最近思えるようになりました」

仕事の幅は広がり続けるが、話の中で「本業はモデル」を何度か繰り返した。

「モデルがあってここまで来られたし、今でも服は大好き。やっぱり格好いい自分が一番好きなんですね。モデルが私の中では一番格好いいものだと思っているし、自分の本業なんだなって思ってます」

話す内容は常に1本筋が通っている。【遠藤尚子】

▼番組を手掛けるテレビ東京佐久間宣行プロデューサー(43)

この番組を収録していて改めて思うことは、滝沢さんはおバカタレントでは全くありません。知らないことは多いけれど、学ぶこと自体への気持ちはすごくある。解説を聞いて、何か1つわかったときの表情が最高なんです。「うれしい」が顔中にあふれる。その姿のあまりのハッピーさに皆、感動してスタジオで拍手が起きたことがあります。そんなタレントさんは、なかなかいないです。

◆滝沢(たきざわ)カレン

1992年(平4)5月13日、東京都生まれ。中学時代にスカウトされ、08年ファッション誌「セブンティーン」のオーディション「ミスセブンティーン」でグランプリを獲得し、モデルデビュー。今年7月に約9年間務めた「JJ」専属モデルを卒業。映画は10年「マリア様がみてる」などに出演。フジテレビ系「グータンヌーボ2」にレギュラー出演中。172センチ、血液型AB。

◆ソクラテスのため息~滝沢カレンのわかるまで教えてください~

今さら人に聞きにくい経済情報や話題の出来事を、専門家たちが滝沢カレンを中心としたニュースがわからない芸能人に説明していく番組。共演はおぎやはぎ、村尾信尚氏ら。

(2019年11月3日本紙掲載)

番組ロゴを前にポーズをとる滝沢カレン(撮影・加藤諒)
番組ロゴを前にポーズをとる滝沢カレン(撮影・加藤諒)