星組新トップ礼真琴の相手娘役には、4年目102期生の舞空瞳が就いた。ともにトップ入団した首席コンビ。

抜てきの緊張感と、4年目にしてトップ娘役に就いた覚悟。娘役の舞空瞳は「責任ある立場に(最初は)時が止まりました」。劇団屈指の実力を誇る若きトップの相手役に迎えられた。「普段からお優しくて、同じ目線で手を差し伸べ、何回も一緒に練習をしてくださる。私に思いっきり挑戦をさせてくださる。頭脳と心が広い」。

星組で初舞台を踏み、花組に配属。2年目に、トップ明日海りお主演の「ハンナのお花屋さん」でタイトルロール。その後、全国ツアー、新人公演でヒロイン経験を積み、今年4月に星組へ。前作の紅、綺咲の退団公演で、初のエトワールも務めた。「苦しかった時期は、毎回です」。つらくなると、「ハンナ-」の映像を見返すという。

「透明感があって、純粋でまっすぐなハンナちゃんの心を思い出したくて。今年の初めは、今、このような自分に巡りあっていると想像もしなかった。刺激と新たな学びが多い1年」

コンビ初作品は、モーツァルトの妻コンスタンツェ役。「宝塚版は悪女ではなく、どちらかと言えばシンデレラのような」と役作りを深める。

10月の宝塚舞踊会では、月組トップ娘役美園さくら、宙組トップ娘役星風まどかと共演。前トップ娘役の綺咲からは「どんなに忙しくても、毎日笑顔でいるすてきさ」を学んだ。花組時代は花乃まりあ、仙名彩世らの背を見て、稽古場から髪形や髪飾り、稽古着と「役にどれだけ自分を寄せていくか」を知った。

「稽古着のスカートも作られていて。稽古場でも、どのように(男役のそばに)いれば魅力的かを常に考えてらっしゃった。私も毎日、コンスタンツェのことを考えながら稽古に」

自身を「不器用」と自覚する。「芸事も、何回もやらないと入ってこない。細かい作業も苦手。アクセサリー作りはとんでもない時間がかかります。舞台前も、朝からかなりウオーミングアップの時間が必要」。

礼と同じ気持ちで、同じ方向に向かって走ることが「幸せ」と感じる日々。「とにかくまっすぐ、ついていきたい」。その瞳には頼もしい力強さが宿る。

☆舞空瞳(まいそら・ひとみ)8月27日、横浜市生まれ。16年、首席入団。花組配属。17年10月の東京公演「ハンナのお花屋さん」、昨年1月の「ポーの一族」新人公演ともに主要キャストに抜てき。同夏「MESSIAH」で新人公演初ヒロイン。同末の全国ツアーでも初ヒロイン。今年4月に星組へ組替えし、前作で初エトワール。身長164センチ。愛称「ひっとん」。