映画監督。時々「どうやったらなれるんですか?」と聞かれるが、方法はざっくりと3方向。<1>助監督など現場経験を積んで監督に抜てきされる。<2>自主映画祭で賞などをとってメジャーデビューのチャンスをもらう。<3>他ジャンルで有名になる。

<1>は業界内では一番スムーズなケース、半分以上の監督がこのタイプだと思う。<2>は若手監督の登竜門といわれる映画祭がいくつかあり、そこから輩出されるというもの。<3>は世界の北野監督はじめ、「浅草キッド」の劇団ひとりなど、他分野で活躍したのちに、映画監督になるといったパターンである。ちなみに自身はぎりぎり<2>のパターン。短編映画が国内外の映画祭で評価された後に長編デビューに何とかたどり着いた。

では俳優に置き換えた場合はどうなるだろう。子役からはじめて長く活動するか、事務所や雑誌のオーディションに受かるか、他ジャンルからの転身だろう。他ジャンルでいくと、モデルからが一番多いのではないかと思う。撮られること自体に慣れており、またさまざまなブランドを着こなすように、さまざまな役に投影できるのが特徴なのかもしれない。

男であれば阿部寛を筆頭に、田辺誠一や沢村一樹、最近では坂口健太郎や成田凌の活躍が目覚ましい。女優だと、米倉涼子や杏、菜々緒などが挙げられる。そして今となっては彼らをモデル出身と呼ぶことはあまりなく、本格的な俳優としての地位を確立していると言える。

そこで今回紹介したいのは、前回に引き続き、TBS系ドラマ「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」にゲスト出演していた生見愛瑠(20)。若い女性にはファッションモデルとして、その他の層にはタレントとしてかなり知名度があるのではないかと思う。毎日と言っては言いすぎだが、テレビでかなりの頻度で見かける人気者なのは間違いない。

バラエティーで最初に見た時、同年代の同ポジションの子たちに比べ、タレントとして圧倒的に本物感が漂っていたのを覚えている。このまま順調にいけば、藤田ニコルやみちょぱの後釜にうまく座るのではないかと予想していたところでの、今回のドラマ出演。正直最初は誰だかわからず、つい検索してしまった。

ドラマでの役どころは、電動キックボードで事故を起こし、ひき逃げの疑いを掛けられている女性。両親が亡くなった交通事故が原因で視力を失った姉(趣里)と支え合って暮らしている中での突然の事件。難しい役どころに加え、有村架純に中村倫也と芸達者な共演者たちが並ぶ中、堂々とした演技をみせていた。

つい検索してしまったほど、画面からにじみ出るそのオーラはモデルやタレントのそれではなく、女優としての素質が十分に垣間見えた。事務所からしたら満を持しての出演だったのかもしれない、もしくは単に本人に余りある天賦の才があったのかもしれない。

この感じだと前述した俳優たちのように、すぐにモデルやタレント出身俳優と言われなくなる可能性がある。女優としての今後の活躍に大いに期待です。

◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーに。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。今年は2月に演出舞台「政見放送」を上演、5月20日には最新監督映画「さよならグッド・バイ」が公開された。8月10日から14日まで演出舞台「ハイスクール・ハイ・ライフ」が上演中。カレー好きが高じて青山でカレー&バーも経営している。