俳優界を代表する名脇役6人のそろい踏みで話題のテレビ東京深夜ドラマ「バイプレイヤーズ」(金曜深夜0時12分)で、4話に本人役でゲスト出演した俳優平田満さんのせりふです。偶然通りかかった撮影現場で、これから階段落ちシーンに挑む寺島進さん、田口トモロヲさんからアドバイスを求められてのひと言。映画「蒲田行進曲」(82年)で階段落ち俳優を演じた平田さんならではのおちゃめな本音でした。

 ドラマは、遠藤憲一、大杉漣、田口トモロヲ、寺島進、松重豊、光石研の6人がそれぞれ本人役で出演する話題作。中国版「七人の侍」という怪しげな映画企画を信じて共同生活を送る“おやじ版テラスハウス”なのですが、週替わりで登場する本人役ゲストたちがとにかく豪華なのです。ちょっとしたシーンで絶妙に物語にかかわる面白さと、素顔を垣間見たようなお得感があります。

 1話のゲストは役所広司さんでした。その「七人の侍」の主演のはずが、本人は全然知らないという流れ。同じ九州出身の光石研さんを相手に「初耳ばい。監督は誰ね」「研ちゃんが言うたけん」「明日から半年ニューヨークばい」とネーティブ全開の九州弁でやりとりしていて、休憩時間の俳優はこんな感じなのかなとほほ笑ましいシーンでした。

 2話は荒川良々さんで、松重豊さんと刑事ドラマの現場にいる設定。「『重版出来!』以来だっけ」とか雑談していて笑えました。さまざまな現場で遭遇しまくっているバイプレイヤーあるあるですよね。3話は滝藤賢一さん。「不倫スキャンダルで役を降ろされてしまった滝藤賢一」というトンデモ本人役を引き受けていて、しょんぼり泣く姿に見入ってしまいました。

 これから9話まで、10人以上のゲスト俳優がすでに発表されていますが、竹中直人、安田顕、志田未来、椎名桔平らそうそうたる顔ぶれ。皆さんこのドラマに大注目していたようで、公式サイトに寄せているコメントも楽しいです。立候補も多く、椎名さんもその1人。このドラマの制作を知り、マネジャーに出演希望のメールを送ったそうです。「立候補です。売り込みです」とコメントが弾んでいます。

 ドラマの6人に加え、これだけの豪華ゲストを「友情とテレ東価格」(浜谷晃一プロテューサー)で集めてしまうのがテレビ東京の人徳。「本当に豪華な方々にご出演して頂けて興奮しています。6人のバイプレイヤーズメンバーが、役者仲間からも愛されているからこそなのだと痛感しております」。ドラマ内でも、「俺だって掛け持ちだからね」「テレ東だろ?」「テレ東の何が悪いんだよ」みたいな遊び心が随所にあってさすがです。

 6人のテラハ生活を通して、俳優業の魅力と奥深さが胸に染みる異色コメディー。オフっている時のむさくるしさと、監督の「スタート」がかかった瞬間からのかっこよさ。“おっさん萌え”が続出中なのも納得です。

【梅田恵子】(B面★梅ちゃんねる/ニッカンスポーツ・コム芸能記者コラム)