テレビ朝日系で13日未明に放送された日曜エンタ「現役・OBレスラー200人&ファン1万人が選ぶプロレス総選挙」の視聴率です(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

 本来、12日午後8時58分のゴールデンタイムに放送されるはずでしたが、生中継されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)「日本対オランダ」がおよそ5時間に及ぶ死闘となり、試合終了が11時54分。プロレス総選挙の放送が深夜0時13分からのド深夜にずれ込んでしまいました。

 そんな中での4・8%は大健闘といえますが、プロレスにとっては約30年ぶりのゴールデン復活だったので、仕切り直してきちんと放送してほしかったという思いも残ります。番組がなかなかの力作だっただけに、もったいないというか。

 実際、見ごたえがありました。代々木競技場にリングを設置し、新旧のスター選手、プロレス大好き芸能人、客席のプロレスファンで熱気があふれます。ランキング20位のほか、名勝負や華麗なパフォーマンスの数々、レスラーによるレスラー評、豪華なゲストOBなど、プロレス全盛期の面白さがよみがえる2時間でした。

 10位のスタン・ハンセンが「サンライズ」のテーマ曲で登場した時は会場のボルテージも最高潮。現在67歳ですが、今もとんでもなくかっこよくて驚きました。全盛期を懐かしむとともに、低迷期を乗り越え、現在のプロレス人気を支える棚橋弘至(6位)、オカダ・カズチカ(4位)、ケニー・オメガ(15位)ら現役選手のスター性とプロレス愛を頼もしく見ました。

 個人的にグッときたのは、14位の天龍源一郎さん。90年、マット界の最前線にいた彼を、担当外の女性記者3人で取材するという機会があり、全日本プロレス道場におじゃましたことがあります。見せてくれたのはすさまじい練習風景。後で知ったことですが、若手たちに「素人が来ても手を抜くな。本物を見せ、感動させろ」と厳命していたそうです。かっこいいですよね。

 神聖なリングにも上げてくれました。自ら砂人形を持ってきて攻撃させてくれて、「リングにいると、自然と体が動くでしょ」ととびきりの笑顔でプロレスの魅力を体感させてくれました。ブレーンバスターをかけてもらったり、ちゃんこ鍋を作ってもらったのも貴重な思い出です。ブレーンバスターでは、ふわっと逆さまになった瞬間死ぬかと思いましたが、落ちる直前ですっと抱え直してお姫さまのように着地させてくれました。実力もハートも文字通りのレジェンド。番組の天龍名場面にわくわくしました。

 20位のアンドレ・ザ・ジャイアントから1位のアントニオ猪木まで、やはりプロレスは面白いですね。ド深夜の放送でしたが、久々に刺さりました。

【梅田恵子】(B面梅ちゃんねる/ニッカンスポーツ・コム芸能記者コラム)