フジテレビ系アニメ「ちびまる子ちゃん」で知られる漫画家さくらももこさん(享年53)が死去し、28日付のスポーツ紙各紙が一面で伝えました。ニッカンに限らず、他紙もちびまる子ちゃんのイラストを大きくレイアウトしています。スポーツ紙に勤務して、こんなかわいい一面が並ぶのを見たのは初めて。異色の紙面を見て、あらためて故人のキュートで偉大な功績がしのばれました。

漫画家の訃報の過去記事をいくつか調べてみると、やはりメーンはご本人の写真です。89年に亡くなった手塚治虫さんの一面は、はつらつとしたインタビュー写真。芸能面は、会見した長男手塚真さんがメーン写真で、「鉄腕アトム」「ブラックジャック」などの名作漫画の表紙の数々が周囲にレイアウトされています。

96年に亡くなった藤子・F・不二雄さんは、ドラえもんのぬいぐるみを持ったご本人の近影。98年に死去した石ノ森章太郎さんの一面は、ロケ現場での仮面ライダーとのツーショットです。08年に亡くなった赤塚不二夫さんは、作品同様、ご本人のキャラクターも強い印象を残したせいか、8枚の華やかな写真で在りし日をしのんでいます。

あまり表舞台に出なかった女性漫画家という視点では、92年に亡くなった長谷川町子さんもさくらさんと似ています。訃報は芸能面で伝えていて、「長谷川町子さん死去 サザエさんは不滅です」の見出し。使用許可が出なかったのか、各紙ともアニメ「サザエさん」のスチール写真はありません。ニッカンは、4コマ漫画のサザエさんと、春の園遊会での長谷川さんの写真を掲載しています。

そうやって振り返ると、ちびまる子ちゃんが大きく掲載された訃報一面はかなり独特。もはや説明不要のさくらさんの分身として、世の中に定着していたということですよね。

取材記者としては、ぜひさくらさんを取材してみたかったという思いも残ります。

90年の番組スタート当時、フジテレビには本紙を含め「原作者のインタビューをしたい」という取材依頼が殺到しましたが、ご本人の意向ですべて実現しませんでした。今でこそ“顔出しNG”“取材NG”は売り出し戦略のひとつとして定着していますが、当時のマスコミ事情では考えられなかったこと。新番組を売りたいフジも、時の人を紙面に迎えたい取材各社も、未知の事態にてんてこ舞いだったのを覚えています。さくらさんはご自分のペースを貫いて、「ちびまる子ちゃん」をここまで大きくしたのですから、マネジメント力も一流でした。

フジテレビの発表によると、9月2日の放送は、90年1月放送のアニメ第1話をリメイクした「まる子、きょうだいげんかをする」と、95年1月の「まる子、つづらの中身が知りたい」のリメイクの放送となります。第1話とは懐かしい。当時を思い出しながら、ご冥福をお祈りしたいと思います。

【梅田恵子】(B面★梅ちゃんねる/ニッカンスポーツ・コム芸能記者コラム)