テレビ各局の4月改編で、水曜夜10時が激戦区となっている。現在、日本テレビ水曜ドラマ、テレビ朝日「報道ステーション」、TBS「水曜日のダウンタウン」が住み分けているところへ、3局が新番組、枠移動、リニューアルで参戦する。特にバラエティー3番組は出演者のシャッフル状態で、いろいろシ烈だ。

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 4月から水曜10時に登場する新番組、リニューアル番組は以下の通り。

 ◆フジテレビ系「良かれと思って!」(水曜午後10時) バカリズム、劇団ひとり、沢部佑、カズレーザーがMCを務めるトーク番組。愛あるゆえにゲストに余計な人生アドバイスをする、おせっかいバラエティー。

 ◆テレビ東京系「家、ついて行ってイイですか?」(水曜午後9時~同10時48分) 土曜8時から枠移動。終電を逃した人にタクシー代を出して家までついていく、人間模様バラエティー。MCはビビる大木、矢作兼。

 ◆NHK「クローズアップ現代+」(月~木曜午後10時) 放送25年の帯番組。4月から新キャスターに武田真一アナを起用しリニューアル。

 フジ新番組「良かれと思って!」(4月19日スタート)の編成企画、武田誠司氏が意識しているのは「水曜日のダウンタウン」。視聴率8%前後でTBS水曜夜の軸になっている人気番組だ。武田氏は「あちらはM1、M2層(20歳~49歳男性)に強いので、ウチはちゃんと女性層に見てもらう番組にしたい」と抱負を語る。

 MCの4人は、「水曜日のダウンタウン」のプレゼンターとして最前線で活躍していたメンバーでもある。裏番組の勝手知ったる4人が、対抗軸としてどんな番組作りをするかが見どころだ。武田氏は「むちゃなことを言われた時の返しなど、抜群にうまくて面白い4人。『良かれと思って』という余計なお世話を通して、本音を聞けるトークバラエティーを目指します」。

 テレ東は、2時間ドラマとバラエティー特番が混在していた大型枠「水曜エンタ」を終了させての水曜改革。3年かけて人気番組に育てた「家ついて-」を2時間レギュラーに拡大し、土曜から引っ越しさせる。マスコミ向けの改編説明会でも、改編ラインアップの目玉として、資料のトップバッターで紹介された。高野学編成部長は「女性やファミリー層への訴求力を高め、テレ東を代表する番組に育ってきた。男性層も取り込んで、水曜でブランド力をさらに強固にしたい。各局強いので、こちらは2時間で勝負する」と意気込む。

 ちなみに、MCの矢作兼も「水曜日のダウンタウン」のプレゼンターの常連だった人。勝俣州和に関する「0人説」シリーズや、浜田雅功の「結果発表」シリーズなど名作の「説」を数多く輩出した人材だけに、枠移動でどう「水曜日のダウンタウン」に挑むか注目される。

 NHKは、放送25年目の「クローズアップ現代+」の新キャスターに武田真一アナを起用しリニューアル。視聴率5%台で安定している番組だが、紅白司会も担当したエースアナウンサーの登板でさらなる飛躍を目指す。武田アナは「堅苦しい番組にはしたくない」とし「四半世紀にわたり、テレビジャーナリズムの最先端を走ってきた番組。情報の海の羅針盤のような番組になれば」。番組開始から23年間務めた国谷裕子キャスターへのリスペクトがあり「国谷さんは週末には資料抱えて勉強されていた。私も正念場と思って勉強していきたい」と抱負を語っている。

 女性向けお仕事ドラマを中心に2ケタ視聴率を外さない枠に成長した日テレ水曜ドラマ(4月期は沢尻エリカ主演「母になる」)と、テレ朝「報道ステーション」もそれぞれ固定客が厚い。フジの武田氏は「僕に限らず、夜10時はテレビマンにとってどうしてもやりたい花形枠。どこも自信のコンテンツを当ててきているので、盛り上がっていけるよう頑張りたい」。ドラマ、報道、バラエティーの三つどもえのゆくえに注目したい。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)