食の世界的権威、国際ガストロノミー学会(本部フランス)が食文化の貢献者を表彰する国際グランプリに、老舗料亭「京都一子相伝なかむら」のおかみ(おかみ)、中村登代子さん(75)が選ばれ18日、都内で表彰式が行われた。ジュエル・ロブション氏やアラン・デュカス氏ら世界の三つ星シェフを多数輩出してきた賞で、日本人の受賞は初めて。食空間作りのサービスなど、いわゆる「おもてなし」が高く評価された。中村さんは「一生懸命させていただいたことでこのような立派な賞をいただき、うれしい半面どうしたらいいのか」と恐縮しながら話した。

 同グランプリは「シェフ」「食文化を高めた人物」など4賞あり、中村さんは「最も食事をする環境(接客、空間等)を整えるのにたけた人物」部門で受賞した。「京都一子相伝なかむら」は1827年創業の老舗料亭で、中村さんは5代目中村文治氏の妻として22歳から52年間おかみを務めてきた。ガストロミー学会からは「日本本来のきめ細かいおもてなしで各国の要人をもてなし続け、足を踏み入れた瞬間から帰るまで、最高の料理を最高の空間とおもてなしで提供し続ける飽くなき探究」が絶賛された。

 中村さんは「来てもらった限りは喜んで帰っていただきたいという思いで、朝から晩まで毎日同じことをやってきました。52年間続けられたのは、喜んでくださるお客さまの笑顔のおかげです。『また来ます』と喜んで帰っていただくと、うれしくてほっこりするんです」。脚光を集める日本の「おもてなし」が評価されたことにも「私ら、当然やと思ってやっていたことなので」と戸惑いながらも「喜んでもらって私らもうれしい」と笑顔で語った。

 また、国内賞には、ホテルオークラ東京のフレンチシェフ、池田進一氏が選ばれた。