KinKi Kids堂本光一(36)が主演する人気ミュージカル「Endless SHOCK」昼公演を上演中の東京・帝国劇場で19日午後、舞台上の大型LED(発光ダイオード)パネルが倒れ、出演者ら男性6人が負傷する事故があった。いずれも命に別条はなかったが、都内の病院に救急搬送された。堂本や約1800人の観客にけがはなかった。同日夜の公演は中止となった。

 午後1時に開演した昼の部がクライマックスを迎えた午後3時50分ごろに事故が起こった。堂本が舞台袖に消えた後、共演の屋良朝幸(32)とラフルアー宮沢エマ(26)が中央で踊っていた。太鼓をたたく出演者もいた。舞台右側にあった大型可動式LEDパネル(縦7メートル、幅3メートル、重さ800キロ)が手前にゆっくりと倒れ、舞台上にいたダンサーらが下敷きになった。駆け寄った共演者が床との間に駆け込み、パネルを持ち上げて助けようとして「大丈夫か!」「早く!」「救急車を呼んで!」などと叫ぶなど、劇場内は騒然とした雰囲気となった。音は消え、緞帳(どんちょう)が下りた。「誰かいないか!」「担架は!」などスタッフの声も聞こえたが、やがて「機械トラブルです。お待ちください」と説明のアナウンスがあり、帝劇支配人が「公演中止」を告げた。その直後、堂本が緞帳外のステージに現れた。

 堂本は緊張した表情で「ご覧になりましたように事故が起きてしまいました。復旧のめどが立たず、けが人も出てしまい、公演を中止させていただくことになりました。このような時、何もできないことを共演者として非常に悔しく思います」と話した後、満席の客席に深々と頭を下げた。

 警視庁丸の内署などによると、事故に巻き込まれたのはダンサー5人とスタッフ1人。いずれも男性で、劇場関係者によると、20代3人、30代2人、40代1人の計6人。救急車で近くの3つの病院に搬送された。2人が左足首などを骨折、4人は頭の負傷ほか、打撲、切り傷などの軽傷。堂本にけがはなかった。

 公演は中止となり、午後6時開演の夜の部も中止となった。公演を制作した東宝は「このような事故を引き起こしましたことに対し、深くお詫び申し上げますとともに、負傷者およびご家族の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。事故の原因などは調査中で、状況が判明次第、明らかにさせていただきます」と文書で謝罪した。

 今日20日の公演の実施は未定だが、東宝は夜を徹して舞台上の安全確認を行った。警視庁は今日20日も現場検証を行う。

 「Endless SHOCK」は上演15周年の人気公演で、前売りは全日程即日完売。初日は2月3日で今月31日に千秋楽を迎える予定だった。警視庁はパネルが倒れた原因などを詳しく調べている。

 ◆「SHOCK」 00年11月に帝劇で初演。歌、ダンス、フライング、殺陣、22段の大階段落ちなどを盛り込んだショーミュージカル。昨年10月、松本幸四郎主演「ラ・マンチャの男」の1207回を上回り、ミュージカル単独主演記録1位を樹立。演劇全体の単独主演でも故森光子さん主演の「放浪記」の2017回に次ぐ2位の記録に。初演以来、全公演が前売り開始日に完売。動員率100%を維持し、日本で最もチケットが取れないミュージカルとして知られる。昨年までで219万人を動員。08年に菊田一夫演劇大賞を受賞。過去に東山紀之、植草克秀、生田斗真、黒木メイサ、神田沙也加らが出演した。

 ◆帝国劇場 東京・丸の内にある東宝の直営演劇場。通称「帝劇」。1911年(明44)3月に開場。ルネサンス風フランス式建築で、オペラ、新劇、歌舞伎などを上演した。映画上映館に転用後、64年に旧帝劇は閉館。66年9月に地下6階、地上9階の大劇場として新帝劇が開場。1897席。「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」など名作を数多く上演。日本レコード大賞(69~84年)の会場としても使用された。