樹木希林(72)が6日、主演映画「あん」(河瀬直美監督、5月30日公開)完成披露試写会に、共演した孫の内田伽羅(15)とともに登壇した。

 留学先の英国から駆けつけた内田は、演技者として向かい合った祖母の印象について聞かれ「普段とあまり変わらない。家族として知っているので(対面して)演技をするのが恥ずかしかった」と照れ笑いを浮かべた。何かアドバイスは受けたか聞かれると「具体的なアドバイスはなかったけれど(台本の)読めない漢字を教えてもらった」と答えた。

 河瀬監督は内田の父・本木雅弘(49)をはじめ、内田が一家で試写を見に来たと明かし、本木から「伽羅の今しかないものを刻んでいただいてありがとうございました」と感謝されたと明かした。内田は「(父は)『すごい頑張った。自然な芝居が良かった』と言ってくれました」と言い、笑った。

 すると樹木が「(孫が)一番頑張ったシーンが、全部カットされた。私の若い頃のシーンを演じるのに、愛知の新城まで行かされ、全部カット」と突っ込んだ。人間の自然な感情を大切に、俳優にも演技を超えた生の感情を要求する河瀬監督は、撮影したシーンも大胆にカットすることも少なくなく、そのことにチクリと皮肉を込めつつ、笑い飛ばした。

 樹木はこの日、持病のぜんそくに加え、風邪をひいて体調を崩し、登壇時にキャスター付きの椅子を持ち込むと、最後まで座ったまま舞台あいさつを行い、観客に「具合が悪くなって、1人だけ椅子でごめんなさい」と謝った。司会から「もし生まれ変わったら?」と聞かれると「私、いい。もう勘弁してほしい。拒否する」とジョークを飛ばし、降壇時は椅子に乗ったまま、孫の内田に後ろから背中を押させて退場した。