NHK連続テレビ小説「マッサン」に出演するなど充実の女優生活を送る夏樹陽子(62)の体験型シニア健康法が注目されている。「62歳現役」の美と若さが講演活動の説得力となり、今月28日には東京・渋谷で、延べ1000人が集う12時間のマラソンイベント「GTI(元気に・楽しく・生きがいを)祭り」でトークショーを開く。

 168センチのスリムな長身は70年代の映画「女囚さそり」シリーズの頃から変わっていない。体形維持は体験型の自己流が基本になっている。「講演を聞いてくださるのは女性がほとんどですが、具体的な話でないと納得しない。ほっそりと映る写真の撮られ方とか。電話は1トーン上げて話すとか。そうすると相手が『元気そうですね』となる。こっちもハッピーになる相乗効果。ちょっとしたことが元気の出発点です」。

 国際C級ライセンスを持ち、愛車はフェラーリ。「車高が極端に低いでしょ。腰周りが柔らかくないと腰を落とさないと乗れない。若さのバロメーターのつもりで乗り続けてますね」。

 30歳代前半のころは、4~5冊の台本を抱えて掛け持ち出演の毎日だった。「京都で時代劇、東京でアクション現代劇とうまく分かれていたので新幹線で切り替えてました。京都は内股、東京は外股。両方の筋肉を使うから、脚力の鍛錬になったのかもしれません」。

 12年前、50歳の時にチベット体操に出合った。「美輪明宏さんの舞台に出演した時、美輪さんの影響でみんなで始めました。尺取り虫のような動きが基本で、とにかくおなかに力が入る。今でも講演の時はヨガマットを持ち込み、体験していただくんです。おなかは全ての基本ですから」。

 病気で仕事を休んだことはない。「玄米食を通してきたし、自宅には漢方薬の引き出しが2段あります。38度くらいの熱は、首筋とか脇に保冷剤を当てて、3時間あれば自分で下げちゃいます」。

 昨年11月、屋久島に千年杉を見に行き、往復13時間の山道を歩いた。「最初に足の付け根が、次にふくらはぎ、そして足首、膝の裏の順で痛くなる。人間の体って不思議で、1つのところがオーバーフローすると別のところがカバーする。この順番なのかって。この年になっても勉強することってたくさんあります」。

 夏樹流の体験型学習法。元気の秘訣(ひけつ)には説得力がある。【相原斎】

 ◆夏樹陽子(なつき・ようこ)1952年(昭27)10月24日、三重県生まれ。ファッションモデルをへて77年映画「空手バカ一代」のヒロイン役でデビュー。「トラック野郎」「女囚さそり」などのシリーズ映画や、「ザ・ハングマン」や「大江戸捜査網」など人気ドラマに出演した。著書は「夏樹メソッド」「夏樹陽子キレイの秘密」など。シニア向けの講演のほか、小学校やケアホームで絵本の読み聞かせ活動も行っている。