単独での5度目の来日公演を行う英歌手ポール・マッカートニー(72)が20日、米国発のチャーター機で関西空港に到着した。

 午前8時すぎ、黒のジャケットにサングラスをかけたポールが登場すると、ファン約500人が歓声を上げた。ナンシー夫人(55)と肩を組み、ファンに向けて「オハヨウゴザイマス」、「オッス!」「コンニチワ」と笑顔であいさつ。左手には黒のベースケースを持っていた。ファンは「Welcome back PAUL」とプラカードを掲げ、歓迎した。

 ポールは昨年5月に来日したが、体調を崩し、全公演は中止になった。日本を離れるときにファンにわびながら「また近いうちに会えることを信じてます」とメッセージを発信した。帰国後のインタビューでも「僕は1日も早く日本に、リベンジするために戻りたい」と決意をにじませた。無念の公演中止から約1年。約束を果たすために来日した。

 今回は1966年のザ・ビートルズ初来日コンサート以来、49年ぶりに東京・日本武道館のステージに立つ。「武道館に戻ることができて最高にうれしいよ。とても特別な場所だし、僕たちが初めて演奏した場所でもあるしね。当時はさまざまな議論が起こっていたけど、今ではアーティストがここで公演を行っていると知った。でも僕にとってはいつまでも大切な思い出の場所なんだ」とコメントも出した。

 武道館はミュージシャンの憧れの舞台だが、本来は東京五輪の柔道会場として建設された施設。当時、ビートルズのコンサート使用には日本の武道の伝統を損なうなどの意見も出て、社会的問題にもなったほどだった。

 5度目の来日公演「アウト・ゼアー ジャパン・ツアー2015」は21日に京セラドーム大阪、23、25、27日に東京ドーム、28日の日本武道館と続く。5公演で約20万人を動員する。1日に離日予定。5月2日の公演地、韓国に向かう。