日本を代表する演出家の蜷川幸雄さんが斬新に再構築したシェークスピアの代表作の1つ「ハムレット」の公演が21日、ロンドンのバービカン劇場で始まり、多くの地元演劇ファンが「世界のニナガワ」の舞台に万雷の拍手を送った。

 父を殺害したのは叔父だと亡霊に告げられたデンマーク王子ハムレットが復讐(ふくしゅう)を遂げようと苦悩する物語を、蜷川さんが演出するのは8度目。ハムレットに藤原竜也さんを起用した。10月に80歳になる蜷川さんは「欧州最大の傑作に立ち向かう」との思いを込め、長屋やひな飾りなど日本文化の象徴を舞台に取り入れた。

 蜷川さんは1985年に「NINAGAWAマクベス」で英国公演に初挑戦。87年には英国演劇界で最高の名誉「ローレンス・オリビエ賞」の演出家部門で候補となるなど高い評価を受けてきた。これまでシェークスピアの「リア王」や「テンペスト」などの上演を重ねており、英国でも広く知られている。

 劇は日本語で演じられ、英語の字幕が付き、約千人が鑑賞した。24歳の女子学生は「素晴らしかった。日本語のハムレットは非常に美しく、迫力もあった」と感銘を受けた様子で語った。