昭和の流行歌を歌う兄弟3人組の楽団「東京大衆歌謡楽団」のデビュー記念演奏会が15日、都内で行われた。

 17日にカバーアルバム「街角の心」でメジャーデビューする新人に対し、プロ野球巨人の長嶋茂雄終身名誉監督(79)は「スポーツ以外でこんなに感動したことはない」と絶賛する言葉を送っている。

 両者の出会いは3年前の12年2月。同楽団が慰問をした都内のリハビリ施設にたまたま長嶋氏が通っていた。「燦めく星座」など10数曲の歌唱を聴きながら、長嶋氏は手でリズムを取るなど終始リラックスした様子だったという。「1曲以外は全部知っていたよ」と喜び、189センチのアコーディオン高島雄次郎(30)の体を見て、「野球はやっていなかったの?」と質問するシーンもあったという。

 その2カ月後に都内でライブを行うにあたり、長嶋氏にコメントを求めると、「最近、スポーツ以外でこんなに感動したことはありませんでした」との絶賛の言葉が届いた。

 今回のメジャーデビューにあたり、関係者があらためて長嶋氏にコメントを求めた。

 すると、先の言葉に加えて、「彼らを初めて見た時、音楽ということを超えて日本人誰もが持っている魂を感じました。非常に強いインパクトを感じ、また曲を聴いた時も、懐かしくも、楽しくもなり、素直に日本人で良かったと思えた時間でした。そんなふうに思えたのは、彼らが本物であると思えたからです」の賛辞が送られた。

 雄次郎は「今度、ぜひ長嶋さんに『燦めく星座』と『野球小僧』を披露したい」と話した。

 同楽団は09年に3人で結成。古き良き昭和初期の流行歌にこだわり、浅草や上野などの街頭演奏を中心に活動を行ってきた。長男孝太郎(31)がボーカルを務め、三男龍三郎(27)が今年3月、前任者と入れ替わる形で加入して3兄弟バンドになった。孝太郎は「昭歌謡はすばらしい曲ばかり。単なるまねでなく、詞の世界を大事にしながら歌い続けていきたい」。

 アルバムには「東京ラプソディ」「上海帰りのリル」など16曲を収録している。