4月22日に俳優萩原流行さん(享年62)がバイクで転倒し死去した事故で、警視庁は自動車運転処罰法違反(過失致死)の疑いで、直前に車線変更した護送車を運転していた同庁の男性警部補を、早ければ月内に書類送検する方針を固めたことが1日、捜査関係者への取材で分かった。捜査の結果、護送車の安全確認が不十分だった可能性が高いことが判明したという。

 警視庁によると事故は4月22日午後6時ごろ発生。片側3車線の一番左の車線を走っていた護送車が、路上駐車の車をよけるため車線変更し、中央車線を走っていた萩原さんのバイクが転倒して護送車の前輪付近に接触した。その後、萩原さんは一番右の追い越し車線に投げ出され乗用車にひかれた。乗用車の男性も同容疑で書類送検する方針。

 萩原さんの妻まゆ美さん(62)は1日、都内で2度目の記者会見を開いた。先月24日、警察からの事故説明のため警視庁杉並署を訪れた。その際署員は「護送車が線路変更する際、安全確認不足により萩原さんの転倒に影響を及ぼした」と警察側の非を認め「(護送車所属の)高井戸署の署長が直接謝罪にうかがいたいと言っている」と言ったというが、まゆ美さんは拒否したという。「まだ警察の言っていることには、事実と違うところがある」として不信感があるうちは、謝罪面会も拒むとした。

 会見では、異例の協力呼び掛けも行われた。まゆ美さんの代理人、堀内稔久弁護士はテレビ報道映像を提示し、萩原さんの後方を走っていた車の運転手が取材に答える様子を指さした。「この男性が一番、事故に詳しいと思う。話を聞きたい。連絡先が分かる方がいたら教えていただきたい」と訴えた。弁護士はこの日「警察側が(運転手を)書類送検するだろうけど、罪を軽くしようとして事実がねじ曲げられる可能性がある。まゆ美さんが納得する正当な結果が出るのはまだ先になると思う」と話していた。戦いは続きそうだ。