お笑いコンビ、ピースの又吉直樹(35)が本格小説デビュー作「火花」で芥川賞を受賞して大きな話題となっている。又吉に限らず、最近では本業のお笑い以外の分野で才能を発揮する芸人が注目を集めており、「お笑い芸人」に対し高く評価する声が大きく聞こえはじめている。

 SMAPの中居正広(42)は15日放送の日本テレビ系「ナカイの窓」で、お笑い芸人を含むバラエティータレントの評価に異論を唱えた。バラエティー番組で司会を務めることの多い中居は「バラエティーは一番難しい。間違いなく」と断言した上で、「俺が嫌なのは、芸能界の勝手な偉い順みたいなのがあって、役者さん、歌手、で、バラエティー、っていう順番が嫌だね」と語り、台本のないバラエティー番組で瞬発的な笑いを求められ、そのための技術を磨いて臨むバラエティータレントについて「一番、アスリートに近い」と高く評価していた。

 そうした芸人たちがさらに、本業以外の分野でも活躍し始めている。オードリーの春日俊彰(36)が「フィンスイミング」で男子サーフィス50メートルの部で日本代表に選ばれ、6月にイタリアで開催されたワールドカップでは初出場ながら10位の成績を残した。それ以前には、アマチュアボクサーとして五輪出場を目指すしずちゃんこと南海キャンディーズの山崎静代(36)や、マラソンのカンボジア代表として活動する猫ひろし(37)といった面々もいる。

 スポーツ分野以外でも、映画監督としての地位を固めつつある品川庄司・品川祐(43)や、バカリズム(39)はドラマ脚本家として脚光を浴びはじめている。また、文学の分野でも又吉のほかに、爆笑問題の太田光(50)や、劇団ひとり(38)など、才能を発揮している芸人は少なくない。いずれも「芥川賞」という大きな看板と比べると見劣りするかもしれないが、本業以外の分野で一定の評価を得ていると言えるだろう。

 そうした状況に、ミュージシャンや俳優として活動し、現在は「芸人」の肩書を外しているマキタスポーツ(45)は、5月21日付のブログで、「『芸人』であることが目的なんじゃなくて、『笑い』自体が手段であり、目的であるということ。もっというと、面白いこととか、興味深いこととか、ハッとすることとか。お笑い芸人という“能力”がいろんなところに波及しているのはそういうことだからじゃないかしら。または、ジャンルを跨いでも“面白きこと”をやりたい人が、日本のショービジネス界では『芸人』ってことに現状なっているんじゃないのかな」と自身の見解を示した。

 また、今回の又吉の受賞についてツイッターでコメントした東国原英夫氏(57)は、「僕は兼ねてより、『お笑い人があらゆる意味において最も優秀である』と言って来たが、それを証明するような快挙である」とし、「お笑い界から、また新しい才能が出た事を本当に誇りに思う。おめでとうございます」と祝福した。

 そのほか、中居が芸人の能力を説明するために例としてあげた「アスリート」でありタレントの武井壮(42)も又吉の快挙をフェイスブックでたたえた。かねて、マイナースポーツの世界では一流の選手であっても収入が低く世間の認知度・評価も得られていないという状況を変えなければならないと主張している武井。新たなアスリートを育てるため子どもたちを教育する上で最も必要なことは「子供に夢を見させたいのなら、自分が夢を叶える必要があると思う。もしくは夢を叶えるためにチャレンジする姿を見せる必要があると思うんだ。半端な技術指導や運動理論なんかより、大人の俺たちが人生をかけて毎日仕事をガンガンこなして、さらに熱く自分の夢に向かって進む姿が子供達の夢を叶える原動力になるんじゃねえかな」と持論を展開した上で、「又吉さんは芸人として100頑張りながらこれを成し遂げたよな。大人になってお金も社会も人も全て分かってからさらに難しい夢に向かって走ってその活動に価値と最大級の評価を手にした」とつづった。さらに「又吉さんの偉業はもしかしたら日本の大人達がこれから子供達に夢を、希望を、だけじゃなくまず新たな自分自身の夢の扉を開くきっかけになるんじゃないかと思う」と私見を述べ、「又吉さんおめでとう。新しい希望をくれてありがとう。。」と熱く祝福した。