数々の危険なスタントを自らこなす米俳優トム・クルーズ(53)が、31日に全米公開される大人気スパイ映画シリーズ第5弾「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」の撮影で、水中で6分間も息を止めて演技をしていたことが明らかになった。

 クルーズは同作で、スタントなしで地上約1534m、時速400kmの軍用機にしがみつく空中アクションを演じて話題になっているが、スタントコーディネーターのウェイド・イーストウッド氏が「もっとも心配だったスタント」として、潜水シーンについて語った。

 このシーンはクルーズ演じるイーサン・ハントが率いるIMFの最大の敵であるスパイ組織「シンジゲート」を潰すための重要な作戦の一つで、クリストファー・マッカリー監督がノーカットで撮影したいと希望したことから、水深6mの深さで息を止めて演技することに挑戦したもの。

 イーストウッド氏によると、このシーンは他のどのスタントよりもチャレンジが必要だったと言い、「あらゆる角度にカメラを設置し、不測の事態に備えてスタントマンが待機し、すぐに救出できる体制を整えていたが、彼は危険なスタントをすると同時に息ができなくなり苦しむ様子を演じる必要があった」と振り返った。

 撮影は2週間にも及び、2、3テイクを繰り返した時は「やりすぎだ」と止めに入ることもあったという。しかし、2カ月間トレーニングを受けて準備をしていたクルーズは、「大丈夫だよ。僕だって死にたくないからね」と話していたという。

 「もし俳優になっていなかったら、素晴らしいスタントマンになっていただろう。でも、彼が本当にすごいのは、スタントをしながら同時にその役柄になりきって演技をしていることだ」と、イーストウッド氏は語っている。

 本作は日本では8月7日から全国公開される。(ロサンゼルス=千歳香奈子)