役所広司(59)が13日、東京・新宿ピカデリーで行われた主演映画「日本のいちばん長い日」(原田真人監督)大ヒット御礼舞台あいさつに登壇し、「水野晴郎さんに似ていると言われて、ちょっとショック…くらいですかね」と苦笑した。

 8日の同作公開初日後、周囲から反響があった中、08年に亡くなった映画評論家の水野晴郎さんに似ているという指摘があったという。役所が演じた阿南惟幾陸相が、水野さんが自身の監督作「シベリア超特急」シリーズ(96~05年)で演じていた山下奉文陸軍大将のイメージに似ているという指摘だ。

 また、昭和天皇を演じた本木雅弘(49)は、原田監督から耳打ちされるがまま、PRコメントを発した。

 「今、お達しがありまして…ぜひ、私が言うのもおこがましいですけれど、皇室関係の方にもご覧になっていただいて、おしかりなどいただきたい。皇居試写会を催していただいて…すみません、失礼しました」

 原田監督は最後に、67年公開の岡本喜八監督による同名映画が同作のスタート地点だというリスペクトの思いと、反戦、平和への思いを切々と語った。

 「(今作品の宣伝で)取材をいつもの(他作品の)倍以上、受けた。封切られて一段落付いて…自分の言ったことを読んでみて、がくぜんとした。岡本喜八監督作品を結構、けなしているような言い方になっていた。これは僕自身の言葉が、足りないところがありました。この映画に関して、見てもらって我々が歴史的なところで、どこから来て、どこへ行くのかと考えてほしいと話したが、肝心の自分が、この映画を作る時、どこから来て、どこに行くのか言ってなかった、考えていなかったと反省しました。この映画は岡本喜八監督作品から来ています。そこが始まりです。作るに当たって一番考えたのは岡本監督が当時、やりたいけれどもできなかったことがあるだろう。そこのところを受け継いで…そのつもりで作った。なおかつ我々は作ったけれど、まだ語れない部分がある。もう1つの『日本のいちばん長い日』が10~15年後に、もう1度出ると思う。昭和天皇は正面に出てくることはできましたけれども、昭和天皇を囲んでいる状況がどうだったかを、日本では映画で描くことがまだできていない。どんどん、これから、いろいろな形で議論できるような社会になればいいと思う。とにかく戦争はいけない。軍をなくして、国を残すという決断をした意識だけは全うしつつ、これからも、この映画がある1つの指針になって次の議論にいくように、次の『日本のいちばん長い日』を埋める時代が来るよう祈っております」

 原田監督の、日本の行く末を案じる深いメッセージに、会場中から拍手が起こった。

 この日は、他に畑中健二少佐を演じた松坂桃李(26)が登壇した。