女優の吉田羊(年齢非公表)木村佳乃(39)が、黒木瞳(54)の初監督映画「嫌な女」(来年公開)にダブル主演することが17日、分かった。吉田は堅物の弁護士、木村は天才詐欺師を演じる。黒木監督の出演依頼に即答で快諾したという。

 吉田、木村はともに依頼を受けてまず驚いた。吉田は「共演すらまだない大先輩の初監督作品、しかも主演でというお話をいただいた時は耳を疑いました」。97年映画「失楽園」で黒木と共演している木村は「監督をされると聞いて大変驚きました」と話す。

 2人は迷うことなく、引き受けた。吉田は「並々ならぬ情熱に体を底から突き上げられ、女優が女優を撮る面白さをぜひ見たいと思いました」。木村は「内容を知らないうちから、ぜひやらせていただきたいと心躍っていました」。

 「嫌な女」は、対照的な性格の女性2人の生きざまを通し、女性の強さや友情、人生の素晴らしさを描く。原作にほれ込んだ黒木が最終的にメガホンもとることで映画化が実現した。吉田と木村から即答で出演の快諾を得た黒木は「『何か面白そう』という大胆なお気持ちが、すごいなと思いました」と話す。

 吉田はこれが映画初主演作。木村と吉田は初共演となる。現在撮影中で、黒木は2人について「同じ画面の中に存在していても、まったく違う色の光を発します。その光が交わった時は圧倒されます」と話す。

 吉田演じる弁護士の徹子は、木村演じる遠戚の詐欺師、夏子に振り回されていく。黒木は徹子を演じる吉田に「忍耐力と理性、懐の深さを感じます。虚実皮膜の間を自由に行き来する才能にほれぼれしてしまいます」。木村には「順応性と探求心、自由自在の瞬発力を感じます。画面から飛び出してくるんじゃないかという演技力にはドキッとしてしまいます」という。

 吉田も木村も、女優心理を深く理解している黒木の演出に身を委ね、ありのままを表現する覚悟を決めている。吉田は「丸裸で瞳監督の情熱にぶつかっていきたい」。木村は「大先輩の前で丸裸になるのかと思うと身が引き締まる思い」と話す。3人の「女優」による「化学反応」が注目される。

 ◆「嫌な女」 作家桂望実氏が10年に発表した同名小説の映画化。初対面の相手でも、たちまち懐に入り込む小谷夏子(木村佳乃)は生来の詐欺師。遠戚関係にある石田徹子(吉田羊)は仕事一筋の堅物の弁護士で、夏子がトラブルを起こすたびに解決に引っぱり出されていく。人生なんてつまらないものと思っていた徹子だが、夏子に翻弄(ほんろう)されながら徐々に変化していく自分に気付いていく。