ミス・ユニバース日本代表の宮本エリアナ(21)が、似た境遇の高校生アスリートに刺激を受け、世界NO・1を狙っている。父はアフリカ系米国人、母は日本人。「代表にふさわしくない」との批判もあった中、陸上のサニブラウン・ハキーム(16)、野球のオコエ瑠偉(18)に「勇気をもらった」と話した。キャロライン・ケネディ駐日米大使(57)からはエールを受けている。

 エリアナは、サニブラウンの世界陸上北京大会での活躍に歓喜していた。25日の男子200メートル予選、26日の準決勝ともニュース番組でチェックしていた。

 「素直にすごいなと思いました。刺激を受けたし、勇気をもらいました。7月にも彼が日の丸を背にして喜ぶ姿(陸上世界ユース選手権100メートル優勝で)を見て、ウワーッと思いました。野球の彼もすごいですよね。芸能界にも私と似た境遇の方々が活躍されていて、憧れられているし、とてもうれしいですね。もっと、そんな人が増えて、いろんなことが平等に見てもらえるといいですよね」

 3月12日、代表に選ばれた直後からエリアナへの批判が噴出した。ネット上には「日本人らしくない」「何でブラックが日本代表なんだ」の書き込みもあった。一方でCNN、ニューヨーク・タイムズ、BBCなど多くの海外メディアから取材され、存在は世界に知れた。国内外から「頑張って。応援している」の声が上がり、6月にはケネディ大使の希望で初対面した。

 「すごく優しい方でした。いろいろと聞いていただいて。これから一緒に何かをやっていけたらいいねと言われ、楽しみだなと」

 肌の色が違うことで、小学校で差別を受けた。「色がうつる」と言われたこともあった。その一端を話すと、大使はショックを受けながらも「力を合わせて変えていけたら」と言い、世界大会に向けてのエールを送ったという。会話は通訳も介したが、英語も駆使した。幼い頃に母と離婚した父の地元、アーカンソー州で高校時代を過ごして学んだ。

 「バレーボールで特待生の話もありましたが、断って渡米しました。入った学校にはいろんな民族がいて、私のように英語を話せない留学生もたくさん。親が黒人で似た感じの中国人や韓国人もいました。偏見も差別もないし、本当に楽しい期間でした。日本もそうなってほしいという願いはありますね」

 2年後に帰国し、福岡でモデルを始めた。知人からミス・ユニバース2014年への応募を勧められたが、「ハーフで代表になった人はいないし、出場しても無理」と断った。だが、今年は出場した。親しかった白人系ハーフの自死がきっかけだった。外見は外国人でも、英語が話せないことに悩んでいたと知っていたが、命を絶つほどだったとは気づけなかった。

 「こういう状況で自分にできることはないかと考えました。長崎の代表になれた時点で欲が出て、日本代表になった時の批判も予想していましたが、父は母よりショックを受けていました。私も悔しかった。ただ、批判がなければ注目されることはなかった。『憧れています』『ありがとう』のメッセージをもらい、今は勇気がわいています」

 世界大会の日程、開催地とも未定だが、注目度はかつての日本代表にはないほどに高く、テレビ、イベント出演などでも多忙だが、将来へのビジョンはある。

 「ビジネスをやりたいです。人種や人権の問題で何かできないかなと。あとバイクが好きなので、そっちの方面でも。モデルも続けたいし、発言力のある人にはなりたいです」

 だが、その夢へのスピード感も世界大会の結果で変わることを自覚している。

 「だから、出るからには上位、一番上を目指したいです。とても楽しみにしています」

 願いをかなえ、オコエ、サニブラウンに負けないくらい、日本を盛り上げるつもりだ。【柳田通斉】

 ◆宮本(みやもと)エリアナ 1994年(平6)5月12日、長崎・佐世保市生まれ。バレーボール歴8年で中学時代はセンターエース。しかし、身体能力については「あると思えない。ジムで走るのも苦手です」。特技はダンスと書道(5段)。173センチ、B87-W60-H87センチ。