第28回東京国際映画祭ラインアップ発表会が29日、都内で行われた。

 席上で、常に時代を切り開く革新的な映画を世界へ発信し続けた映画人の功績をたたえる、第2回SAMURAI賞を、山田洋次監督(84)と香港のジョン・ウー監督(69)に贈ることが発表された。同賞は昨年、新設されたもので、第1回は北野武監督(68)と米のティム・バートン監督(57)が受賞している。

 今年は、今の日本映画を発信する「ジャパンナウ」が新設され、その一環として最新作「日本のいちばん長い日」を含めた原田真人監督の5作品を上映する特集「原田真人の世界」が企画された。また第1回のオープニング作品だった、黒沢明監督の「乱」(85年)の4Kデジタル復元版など、日本映画史の名作をそろえた「日本映画クラシックス」、日本公開前の個性的な最新作をプレミア上映する「パノラマ」も新設され、注目すべき邦画が多数、ラインアップされた。

 さらにコンペティション部門には「FOUJITA」(小栗康平監督、11月14日公開)、「さようなら」(深田晃司監督、11月21日公開)「残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-」(中村義洋監督、来年1月30日公開)と、邦画が11年ぶりに3本出品された。

 椎名保ディレクター・ジェネラルは「確かに、これまでの30年の中で、日本映画を紹介するのが突出しているように見えるのは、その通り。ディレクター・ジェネラルとして3回目を迎え、日本映画を海外に発信することを念頭に置いています」と語った。

 その上で「今年を成功させて、次のステップとしてアジア、欧州、中南米の作品を多く上映できる映画祭にしたい」と、より国際色豊かな映画祭を目指すと語った。一方で「まだまだ財源的な問題はある。この辺を強化しながら、より日本、海外の映画を多く上映できる映画祭を目指す」と、現状の問題点を踏まえた上での今後の展望、目標を語った。