劇団ひとり(38)が、アニメ映画「クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃」(高橋渉監督、来年4月16日公開)の脚本を、芸能人として初めて担当することが29日、分かった。日本の子どもたちに笑いを与え続けてきた「しんちゃん」と、笑いをベースに作家、映画監督とマルチな才能で独自の世界を築く劇団ひとりがタッグを組む。ひとりは「国民的アニメであり、ファンも多い作品ですからプレッシャーも大きかった」と振り返る。

 映画は93年の第1作「-アクション仮面VSハイグレ魔王」以降23本が公開され、今年公開の「オラの引越し物語~サボテン大襲撃~」は興収22億8000万円で、第1作が持つ22億2000万円のシリーズ最高記録を22年ぶりに更新。そこに新たなエッセンスを加えられる存在として、ひとりに白羽の矢が立った。06年の作家デビュー作「陰日向に咲く」は100万部を突破し、08年に映画化され興収19億5000万円とヒット。10年の「青天の霹靂」も昨年自ら初監督して映画化し、興収11億8000万円と、映画界でもヒットメーカーになりつつある。

 今回は、ひとりが以前から強い興味を持ち、自分なりに調べてきた「夢」の世界を舞台に、その不思議な魅力に迫る。脚本は高橋監督との共同で「世界観を壊さないように、かといって今までと同じにならないよう、何度も打ち合わせを繰り返し7、8カ月ほどかけて推敲(すいこう)を重ねました」という。テレビでの仕事がベースのため「常に予算を気にする脳みそになっていたので、画を好きに動かすことのできるアニメの自由な発想に切り替えるのは苦労した」という。

 一方、5歳の娘を持つ父として「娘と一緒に映画を見ることも少なくないのですが、片方が楽しんでいる時は片方は退屈なんてことがよくあったので、僕も娘も同じように劇場で楽しめる作品に出来たらいいなと思って書きました」と父としての愛も込めたようだ。

 ◆「クレヨンしんちゃん」 90年に連載がスタートした故臼井儀人さんの漫画を原作に、92年4月からテレビ朝日系でアニメ放送開始。映画は翌93年に第1作が公開され、今年までの23本の興行収入(興収)の平均は約13億8000万円。興収は00年前後から10億円前後で安定傾向にあったが、近年は躍動感のある動きや斬新な企画で、再び伸びてきた。「-爆睡! ユメミーワールド大突撃」は、野原しんのすけ(声・矢島晶子)が夢の世界に入り、1人の少女を助ける物語。