俳優松山ケンイチ(30)主演映画「の・ようなもの のようなもの」(来年1月16日公開、杉山泰一監督)の先行上映会が20日、東京・新宿の新宿ピカデリーで行われ、松山、北川景子(29)らが出席した。

 この日が命日だった故森田芳光監督のデビュー作で、81年に公開された「の・ようなもの」の35年後を描いた作品。末広亭でのイベント後に劇場へ移動した松山と伊藤克信(57)はスーツに、北川は緑のロングドレスに、それぞれ着替えて登場した。舞台あいさつでは、野村宏伸(50)らも加わり、森田監督との思い出話に花を咲かせた。

 松山は「本読みで普通に笑っちゃうくらい、監督はおもしろかった。誰もマネできなかった」と、森田監督の芸達者ぶりを明かした。北川は「間宮兄弟」(06年)のオーディションの際、審査員からその場で別の役柄を演じるよう指示され、ムッとした話を暴露した。オーディション後にそれが森田監督だったと知り、「それなのに現場では温かく迎えてくれた。反省しました」と振り返った。

 伊藤はかつて森田監督から「『君を不幸にはしない』と言われ、会社をやめた」と、脱サラの理由を明かした。だが後日、撮影の際に深刻な顔をした監督に言われた一言が忘れられないという。「『この映画が当たらなかったら、俺もお前も終わりだ』と言われたんです」。その後、森田作品の常連になり、俳優としても成功。「信じて付いて行って良かった。感謝の気持ちしかない」としみじみ語っていた。

 作品には、過去の森田作品のオマージュの要素も多数、盛り込まれている。杉山監督は「(クランクインまで)1年近くあったので、ふつふつといろんなアイデアが沸いてきて、過去の作品を背負ったキャラにしてしまえと居直りました」と明かしていた。