歌舞伎俳優市川海老蔵(38)が、市川新之助として出演した03年のNHK大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」以来、13年ぶりに連続ドラマに主演することが5日、分かった。年内放送予定のテレビ東京系時代劇「石川五右衛門」(放送開始日時未定)で五右衛門役を務める。

 海老蔵が久々に、連ドラに帰ってくる。市川新之助だった03年「武蔵 MUSASHI」に主演しているが、04年に海老蔵襲名後、スペシャルドラマの主演を務めたことはあったが、連ドラ主演は初めてだ。

 歌舞伎でも五右衛門を演じる海老蔵は「09年に樹林先生とご一緒に作った新作歌舞伎『石川五右衛門』を演じて以来、五右衛門というキャラクターに自由で独創的な可能性を感じていました。このたび、連続時代劇で五右衛門を演じ、多くの方に『石川五右衛門』の魅力をお伝えしたいと思っております」と意欲をみせている。

 さらに「痛快で楽しい『石川五右衛門』を老若男女、多くの方にご覧になっていただき、時代劇の面白さを知ってほしいと思います」と減少する時代劇への思いも言葉にした。

 物語は、天下の大泥棒で庶民のヒーロー石川五右衛門と、時の権力者で富を独占する豊臣秀吉の対決を主軸に描く人間ドラマ。原作、脚本は、09年に海老蔵主演で人気を得た新作歌舞伎「石川五右衛門」と同じ、樹林伸氏が手掛け、アレンジを加えて、映像化する。同局山鹿達也プロデューサーは「笑って泣ける、痛快なエンターテインメント時代劇を目指す」とPRした。

 民放地上波のゴールデンタイム(午後7時から同10時)では現在、連続ドラマとしての時代劇は放送されていない。11年のTBS系「水戸黄門」終了後、14年にフジテレビ系「信長協奏曲」が放送された程度。「石川五右衛門」はゴールデンタイムに放送され、同時間帯2年ぶりの時代劇復活にもなる。

 ◆歌舞伎「石川五右衛門」 初演は09年。漫画「金田一少年の事件簿」や「神の雫」の原作者でもある樹林伸氏を迎え、従来の五右衛門作品とは一線を画した内容。海老蔵の石川五右衛門、中村七之助の茶々、そして12代目市川団十郎さんの豊臣秀吉など豪華な顔合わせが実現。宙乗りなども駆使し、壮大なスケールで好評を博した。15年に新橋演舞場で「初春花形歌舞伎」として再演された。