戸田恵梨香(27)が人気シリーズ映画の新作「デスノート2016」(佐藤信介監督、10月29日公開)に出演することが8日、分かった。06年の前編は映画デビュー作で、同年の後編はヒロイン弥海砂(あまね・みさ)を演じて大ヒットに導いた。出演者が一新した新作で、抜群の存在感を10年ぶりに発揮する。

 新作は、前後編から10年後が舞台。壮絶な頭脳戦を展開した夜神月(藤原竜也)とL(松山ケンイチ)はこの世を去っており、新たにシリーズ出演が決まった東出昌大、池松壮亮、菅田将暉がそれぞれ演じる捜査官、探偵、サイバーテロリストの三つどもえの戦いが描かれる。戸田は、トップアイドルでありながら、愛する夜神月のためにデスノートを使って抹殺を遂行したヒロイン海砂の10年後を演じる。今回も物語の鍵を握る存在となっている。

 製作側の強い希望で出演が決まった。佐藤貴博プロデューサーは「企画した時に最初に描きたいと思った人物が実は弥海砂でした」と話す。戸田は映画デビュー作となった同シリーズに対して「かけがえのない作品」「胸がキュンとなる」と思い入れが強い。今回、出演依頼を受けた時は「10年後の物語を作ることはないと思っていたので本当に驚きました」。それでも「新たな物語を聞いて、あらためて伝えられるメッセージがあるのかも知れない」と引き受けた。

 10年前の撮影を「芝居もままならない状態。恥ずかしくて仕方がない」と振り返るが、今回は衣装や髪形をスタッフと相談して決めるなど、キャリアを積んで深めた自信やこだわりを生かす余裕もあった。撮影では「今の自分だったら海砂をどう演じられるのかと悩み、恐怖も感じた」というが、佐藤監督と「海砂の複雑な感情を確認する作業が多かった」という過程を経て演じ切った。佐藤監督は「物語の1つの柱となり、デスノートの息吹を吹き込みました」と話す。

 女優業の原点と言える作品への復帰で、戸田はあらためて感じたことがある。「10年たってもう1度同じ作品に出演できること、私がここまで(女優を)続けられてきたことは、うれしく、とても恵まれていたと思います」。10年の歩みがスクリーンに投影されている。

 ◆「デスノート2016」 名前を書いた人間を死なせることができるデスノートを死神が再び地上にばらまき、世界は混乱していた。警視庁の対策本部では三島捜査官(東出)らと探偵の竜崎(池松)が事件解明にあたり、地上に6冊のデスノートがあると判明。これをめぐりテロリストの紫苑(菅田)と争奪戦を展開する。10年前にデスノート所有権を放棄した弥海砂(戸田)の失っていた記憶が、争奪戦での重要な鍵を握っていた。