演歌歌手北山たけし(42)が20日、島根・出雲市の出雲大社で、熊本地震で甚大な被害を受けた地域の復興を祈願した。北山は熊本市から車で約1時間離れた福岡県柳川市出身。当初は新曲「流れ雲」のヒット祈願を行う予定だったが、「神さまにお願いできることは1つだけと聞き、ならば復興をと思いました」。

 14日の地震直後、故郷で1人暮らしをする父となかなか連絡が取れなかった。「すごく心配でした。でも、1時間くらいで電話がつながった時はすごく安心した」。熊本市内には友人や支援者らが多く住んでいる。「少しでも力になりたい。でも、自分は歌うことしかできないので、今の大変な時期を過ぎて、もし歌を必要としてくれる時がきたらぜひ協力したい」と力を込めた。師匠の北島三郎(79)とも「その時期が来たら現地に行こう」と、北島ファミリーでの慰問を相談しているという。

 この日は地震からの復興を祈願したが、もちろん、09年以来、7年ぶりとなるNHK紅白歌合戦の返り咲きを諦めたわけではない。「若手の演歌歌手も頑張っているので負けていられません」。出雲市も北山を観光大使に任命し、全面的なバックアップを約束した。

 「流れ雲」は人生の応援歌といえるメッセージソング。「これまでは自分に重ね合わせて歌ってきたが、これからは歌う意味が増えました」。北山は故郷九州への熱い思いを何度も口にした。【松本久】