静岡県ローカルタレント久保ひとみ（４６）が、活動２０年周年を迎えた。１９９６年（平８）４月からＤａｉｉｃｈｉ－ＴＶ「まるごと」の前進番組とラジオ番組に出演し、県内の誰もが知る存在になった。街を歩けばサラリーマンに胴上げされ、著名人にも愛されている。その素顔に迫るべく、独占インタビュー。２回にわけて紹介する。

　－「まるごと」に出始めて２０年ですね

　いや、長いですね～。２０年前、夕方帯のワイド番組は「まるごと」だけだったんです。「静岡〇ごとワイド」というタイトルで、私はリポーター募集のオーディションを受けて、出るようになりました。

　－オーディションで選ばれたんですね

　大阪でラジオの仕事をしていたんですが、父の体調が悪くなって、浜松に帰ることになりました。９５年１２月に父が亡くなり、９６年１月にオーディションを受けました。ツテもコネもなかったのですが、しゃべる仕事を続けたくて。

　－オーディションで何をやったんですか

　目の前にりんごの置物があって、その素晴らしさを１分間で表現するという課題でした。私は「このりんごをかじっても歯茎から血が出ません」（昭和５０年代人気ＣＭのパロディー）とか言ったんですけど、そんな風にふざけた感じでやっていたのが私だけでした。関西が８割残っていて、静岡のやんわり、穏やかな感じではなかったですね（笑い）。それがかえって良かったみたいです。

　－その後、結婚

　ほぼ同時に出演し始めたラジオＫ－ＭＩＸの番組企画で、私がボディーボードに挑戦することになり、出会った２歳下のインストラクターが旦那（現在はサラリーマン）になりました。「板に乗らず旦那に乗った」とよく言われました（笑い）。９７年１２月に結婚で、９８年７月に子供が生まれました。あれ、計算がおかしいぞ～。あれれれれ。

　－産休して復帰

　当時、１時間番組だった「まるごと」が２時間番組になり、人手不足につき、産後４カ月で復帰。第１弾の仕事が水着でした。ハハハ。温泉プールでのロケで、「デブデブでもいいから出ろ」と。とんでもない体をさらしました。

　－では、お子さんを保育園にあずけたんですね

　浜松は待機児童が多くて、保育園探しに苦労しました。しかも、息子が１歳で小児ぜんそくで、入退院を繰り返したんです。その時、仕事を辞めようかと思ったんですが、旦那のお母さまが、「辞めなくてもいずれ病気は良くなるから」と言ってくださったんです。それが大きかったです。

　－浜松から静岡に通っているんですね

　新幹線定期で通勤しています。浜松で私の母も一緒に住んでいます。ただ、息子が４月から東京の大学に進学して、今、めちゃくちゃ寂しいです。ホームシックとかならないのかな～。息子がいなくなることを見越して１年前からワンちゃんを飼っていますが、息子がワンちゃんに会いに時々、帰ってくるだろうという計算もありました。

　－愛犬の種類は

　トイプードルで「ぶー太」と言います。今、「まるごと」の「てくてくＢＯＯ！」というコーナーに一緒に出ています。愛犬分のギャラはもらっていませんよ。

　－仕事のペースは

　火水木金は「まるごと」のスタジオ出演で月曜はロケ。土曜はラジオです。月～土曜で働いていますが、息子も家を離れたので時間を持て余している感じで、もっと働きたいですね。

　－今や憧れられる存在ですね。静岡市出身の広瀬すずさんが、番組に出て「久保ちゃんに会いたかった」と言っていました

　本当にありがたい話です。彼女たちが子供の頃から出ているので、（頭に）残像があるんでしょう。でも、長くやってきて良かったです。地道に頑張っていれば、そう言ってくださる方もいるんだなと。すずちゃんは本番前に会った時も、「あ～っ！」と言ってくれました。こっちが「あ～っ」なんですけど。浜松からは、ももいろクローバーＺの百田夏菜子さんが出てますよね。そんな感じで、私を見てくれた人が東京に出て、活躍してくれるとうれしいですよね。

　－街で声を掛けられるでしょ

　しばしば（笑い）。この前、サラリーマンの集団に胴上げされました。

　－知名度は全国に広まってます。桑田佳祐さんが、７日放送のラジオで「久保ひとみさんがすてき。大好き」と言ってましたよ。

　そうなんですよ～。うれしすぎて、死んだ細胞がよみがえりました（笑い）。静岡県内の別荘で過ごされている時、「まるごと」をご覧になっているようです。３年前にも言っていただき、人生で最高に興奮しました。いつかお会いできないかな～。ローカルですけど、「まるごと」に出てくれませんかね。無理を承知でアピールしたいです。

　－日本テレビ系「情報ライブ　ミヤネ屋」の年１回、河津桜の中継もインパクト大です

　宮根さんから「アホの坂田」と言われています。今の夢は、坂田利夫師匠と共演することです。

　－１０日には全国ネットの「火曜サプライズ」に出演。この勢いで東京に出て一旗揚げる野心は

　全くないですよ～。そこまでの力はないと自分で分かっています。若い頃は少しありましたが、もう、これで十分ですし、やりたいこともありますし。

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　静岡では誰もが知る存在の久保ちゃんは、４６歳の今からやりたいこと、思うことがあるようです。【柳田通斉、鈴木正章】

　◆久保（くぼ）ひとみ　１９６９年（昭４４）１０月１９日、浜松市生まれ。浜松商－常葉学園短大卒。同市内で幼稚園の先生として勤務後、刺激を求めて大阪のイベント会社に。お笑いに興味を抱いて入った松竹芸能の養成学校は１カ月で挫折し、アナウンサー学校に入学。ＦＭラジオでプロ野球オリックス応援番組に出演し、「鈴木一朗」時代のイチローを取材。現在のレギュラーは、Ｄａｉｉｃｈｉ－ＴＶ「まるごと」（月～金曜午後４時５３分）、ラジオのＫ－ＭＩＸ「ＷＯＮＤＥＲ,６９」（土曜午後１１時）ほか。血液型Ｂ。