元タレントの上岡龍太郎さん(74)が15日、京都市内で開催中の「京都国際映画祭」(16日まで)で公開された「かぞくのひけつ」(06年)上映会に姿を見せた。

 同映画は息子の小林聖太郎(しょうたろう)氏(45)が06年に初監督作として送り出した映画で、先月27日に交通事故で急死したテントさん(享年65)も出演。テントさんは劇中歌も歌っている。

 小林氏は上映後のあいさつで、同映画の公開当時に東京で行われたイベント映像を持ち込み、テントさんの“生歌唱”も放映。客席から見守った上岡さんは、久々に愛弟子の姿を目にした感想を問うと「ん……」とだけ、口にした。

 同じ弟子のぜんじろう(48)が「うらやましい」と話したほどテントさんをかわいがっていた上岡さんは、亡くなった実感について聞かれても、はっきりとした言葉は口にせず。

 ただ、ぜんじろうが今年の正月、上岡さんの家に弟子が集まり、テントさんと兄弟会を開くことで意見が合致。8月18日に大阪市福島区の銭湯で第1回の兄弟会を実現させた話を振ると「ええ、やったね。僕も(兄弟会に)行こうと思ったけど、狭い場所やと聞いたから…」。次の機会があると信じていた心境をのぞかせた。

 ぜんじろうはテントさんと「いつか大きいところで、師匠も呼ぼう」と話し合っていただけに、上岡さんにとって、無念の思いも計り知れないようだ。

 上岡さんはテントさんが亡くなった翌日の先月28日、大阪市内で取材に対応はしたものの「いろいろありすぎて、立ち話で済ますには僕にはもったいない。通夜の日にお話しします」とだけ答えた。

 しかし、翌29日の通夜では、憔悴(しょうすい)しきった様子で、関係者を通じ「さすがの私も言葉がございません。最愛の弟子をなくした気持ちをくみ取っていただけるとありがたい」とコメントを残し、車で立ち去っていた。

 また上岡さんの息子、小林氏はこの日の京都国際映画祭での上映にあたって、2人でトークショーを開催すべく、テントさんと打ち合わせをしていたと明らかにした。

 「ちょうどその打ち合わせで話した30分後、事故に遭われたので…。本当にまだ実感がわかない」

 小林氏はこれまで映画4作品を発表しており、デビュー作「かぞくのひけつ」は、06年度の日本映画監督協会新人賞を受賞している。「初作品で賞をもらって、縁起がいいので、これまで4作品、全部にテントさんに出てもらってきた」そうで、来年1月28日公開の5作目最新作「破門 ふたりのヤクビョーガミ」にも、テントさん出演場面があることを明かした。