演歌歌手市川由紀乃(40)が7日、京都・伏見稲荷大社で新曲「心かさねて」のヒット及び紅白初出場祈願と歌唱奉納を行った。1300年を超える歴史を持つ同大社で、演歌歌謡曲のヒット祈願を込めた歌唱奉納は初めて。

 本殿で行った祈願では、神主が「『心かさねて』のさらなるヒットとNHK紅白初出場を願い…」と声を張り上げると、強い決意から目を潤ませた。歌唱奉納では、多くのファンを前に「皆さんと心を重ねて年末の夢ステージに出られたらうれしい。最後まで悔いのないように走り続けます」とあいさつ。出荷9万枚の「心かさねて」、昨年発売した10万枚超のヒット曲「命咲かせて」と「海峡出船」の3曲を歌唱した。

 同大社は41年前、市川の母栄子さん(72)が娘の誕生を願って訪れた思い出の地。希望がかなって生まれたことを何度も聞かされてきた。「この大社のおかげで私の命が咲きました。今度は歌手としての大きな命を咲かせたい」。

 市川は亡き兄の思いも背負っている。7歳年上の兄は、生まれつき脳性まひの障がいがあった。誰よりも妹の歌唱を楽しみにしていたが、08年に39歳の若さで亡くなった。「兄のためにも…」。芸能上達の守護神としても知られる大社を前に、年末の夢舞台への熱い思いを口にした。

 ◆市川由紀乃 いちかわ・ゆきの。本名・松村真利。1976年(昭51)1月8日、さいたま市生まれ。作曲家の故市川昭介氏の門下生。93年「おんなの祭り」で歌手デビュー。14年に日本レコード大賞の作曲家協会選奨。尊敬する人は長嶋茂雄氏。170センチ、血液型A。