俳優渡辺謙(57)が14日、都内で、主演するテレビ朝日系ドラマ「五年目のひとり」(19日午後9時)のPRイベントを行った。

 山田太一氏のオリジナル脚本で、東日本大震災後、すべてを無くして心の癒えない中年男性が、多感な少女との出会いを通じて再生する姿を描く。

 渡辺は「話をいただいた時、背中にピンとはるものがありました。被災者に寄り添うドラマにするべきと思った。繊細に各シーン重ねて撮った。心のポケットにしまっていただける作品になったと思う」とPRした。

 また「あらすじを読んだ時、震災1カ月後くらいの時に避難所22カ所回り、すべてを失った何人かの男性と会った時のことを鮮明に思い出した」と紹介。「その男性は当初、淡々と普通に話していたが、後で周りの人から、本当にすべてを失い、途方に暮れていると聞いた。それで、もう1回その男性の所に戻って『大変だったね』と背中をたたいたら、おえつされた。その人が5年たったらどうなるかとイメージした」と語った。また「今までと違うスタンスで応援しないといけない。風化を防ぐとかだけでなく、ちゃんと今と過去をつなぐことをしないといけない。このドラマをやりながら考え方が変わった」と語った。

 一方、渡辺は最後に、今年を振り返って毛筆で「驚」という字を書いて披露した。「驚きましたよね。ドナルド・トランプ。本当に驚きました。アメリカって、あらためて不思議な国と思った」と文字の意味を説明した。さらに「今年は胃がんの手術をした。その後、妻の乳がんも見つかった。今年はサプライズがたくさんあった。でもトランプ以上のサプライズは今年はもうなくしてほしい。いろんな災害もあったし、僕にとってはそういう年だった」と語った。

 イベントには共演の蒔田彩珠と西畑大吾も出席したが、出席予定だった市原悦子は風邪のため欠席した。