覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕された歌手ASKAこと宮崎重明容疑者(58)が、今夏ごろから外泊を繰り返していたことが29日、分かった。2年前に執行猶予判決を受けた同法違反からの再起を支える家族と“別居状態”だった可能性が高まった。一方、同容疑者が警視庁の調べに「絶対にやっていない」と供述していることが、警視庁組織犯罪対策5課への取材で分かった。

 2年前の執行猶予判決後も元アナウンサーの洋子夫人(61)と暮らした東京・目黒の豪邸だが、ASKA容疑者は今夏ごろから頻繁に外出するようになった。かねて交流のある音楽関係者は「半ば別居のような状態だった」と語る。ASKA容疑者は都内の高級ホテルに宿泊することが多くなり「定宿のように利用していました」という。

 28日も同ホテルから1度帰宅後に、連行されたとみられる。ホテルを利用する理由は不明だが、7月には自分のブログで年内(最近になり年明けに変更)のアルバム発売を表明、8月には著書を書き上げた時期と重なり、創作活動に集中するためのようだ。また、レコーディングは九州のスタジオを利用。11月だけで少なくとも2往復している。10月には北海道旅行も楽しんでいた。

 音楽以外で力を注いだのは、2年前の逮捕劇や、盗聴やサイバーテロに遭っていることなどをまとめた著書だった。今年1月にブログ上で発表した、長文を書き直したもので、1度は大手からの出版が決まりかけた。しかし、あまりに現実離れした部分が多く、見送られたという。そのベースになった文章を1月に公表した際、数時間でブログから削除された。その後も更新しては削除する行為が3回繰り返された。ASKA容疑者はその後のブログで「何らかの力が働いていた」と、外部からの攻撃を信じ込んでいた。

 しかし、関係者によると削除していたのは家族で、その内容を心配して群馬や九州の病院に入院させたという。洋子夫人もミュージシャンの長男と長女も再起を信じ、あらゆる手段を講じたが、肝心のASKA容疑者は「病気ではない」と訴えるなど、それらの措置に不満を感じていたようだ。さらに、回復するにつれ本格化していった創作活動が、家族の“監視”から逃れる機会にもなり、再犯への引導となったとしたら、皮肉なことだ。