映画の主演女優が約束通りヌードにならなかったのは詐欺だと、制作費を出した男性が怒っていると報じた週刊新潮記事を巡り、監督の伊藤秀裕氏が名誉を傷つけられたとして、新潮社などに計1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は9日、計385万円の支払いを命じた。東亜由美裁判長は「詐欺行為は認められず、伊藤氏の名誉や信用を毀損(きそん)する」と判断した。

 問題となったのは、2014年6月12日号に掲載された「『有名監督』詐欺の手口」と題した記事。13年4月に公開された高岡早紀主演の映画「モンスター」への男性の出資について「主演女優がヌードになることが条件だったが、約束はほごにされた」と報じた。実際の撮影は裸に見えるボディースーツを着用して行われていた。

 判決は「出資した男性が期待するほど扇情的でエロチックでなかったからといって、伊藤氏がだましたとは認められない。出資契約にヌードなどの条件も含まれていない」と指摘した。

 週刊新潮編集部は「理解に苦しむ判決だ。控訴は判決の内容を精査して検討する」としている。