音大卒の男女8人で結成したコーラスグループ「アンサンブル・コノハ」が、昭和の名曲100曲に合唱で挑んだCD集「心に咲く愛唱名曲集100選」(ユーキャン)をリリースした。美声と美形を兼ね備えた平均年齢28歳の若手実力派たちは「女性陣の方が強い」「男性陣は顔採用」と和気あいあい。合唱の魅力や音大あるあるなど、メンバーの中村萌子、佐藤直幸に聞いた。

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 -「コノハ」の結成の経緯は。

 中村 4年くらいBSの子供番組で歌っていたのですが、私と同世代で「もみじ」や「赤とんぼ」などの童謡を知らないというお母さまがたくさんいてびっくりしたんです。日本の叙情歌や昭和歌謡には本当にいい曲がたくさんあるので、これからの世代につないでいける仕事ができたら幸せだなと。アンサンブルのハーモニーにすることで、より歌の良さが届くと思いました。

 -8人のメンバーはどうやって集めたのですか。

 中村 意外と音大は横のつながりがあるんです。私がいたフェリスの音楽学部は女子しかいないので、合唱をやる時は芸大の男子に助っ人に入ってもらったり。舞台で共演することも多いのでそのつながりとか。男性の声が入ると、音の厚みが全然違うんですよ。

 -女性陣と男性陣でもめることはないのですか。

 中村 女性メンバーの方が強い人が多い感じ(笑い)。声楽男子はジェントルマンが多いので、皆さん合わせてくれます。

 佐藤 おっしゃる通りだと思います(笑い)

 -佐藤さんは芸大ではクラシックを学んで、なぜ叙情歌や昭和歌謡をメーンで歌う「コノハ」に参加したのですか。

 佐藤 祖父が石原裕次郎さんの大ファンで、小学校の送り迎えの時に車のカセットでずっと聞かせてくれて、あのころから昭和歌謡が大好きなんです。「コノハ」に誘われて「ぜひやりたい」と。今回のCDにも裕次郎さんの「夜霧よ今夜もありがとう」と「北の旅人」が入っていて、祖父に聞かせてあげられるのがうれしい。

 -8人のメンバー全員が音大卒ということですが、やはり音楽一家に生まれて自然と音大へ、という流れなのでしょうか。

 中村 うちは父が音楽制作、母はピアノの先生という家庭環境で、2歳から歌っていました。ピアノの練習をしないと楽譜を庭に捨てられてしまうというスパルタな環境で(笑い)。

 佐藤 僕は普通のサラリーマン家庭だったので、突然変異です(笑い)。中学3年の時に教室の観賞授業でオペラ「アイーダ」を見たのがきっかけ。ドミンゴの歌に衝撃を受けて「俺はこれをやる」と。高校も普通科だったので、進路指導の季節に「音大行きたい」と言った時は家族も「は?」みたいな(笑い)。

 -芸大に合唱の授業はあるんですか。

 佐藤 あります。声楽家の必修科目で、150人規模で週2回。バイオリンやピアノはその楽器ひとつでハーモニーをつくれますが、人間の声は単音なので、複数の力を合わせるしかない。意見を出し合いながら作り上げたハーモニーにはきずなが生まれるのが魅力。僕は宮城なので震災の時も歌わせていただきましたが、ソロよりも合唱のリクエストの方が多かった。「一緒に頑張ろう」という一体感の力が合唱にはあるんだと思います。

 -選曲も、童謡や昭和歌謡など、なじみのある曲がいっぱいですね。

 中村 1度聞いたら忘れないメロディーと、奥深い歌詞。心にすっと入ってくるのが叙情歌の魅力。

 佐藤 親や祖父の世代が聞いていたものが今も残っているってすごいですよね。裕次郎さんや尾崎紀世彦さんの曲を聞くと「あの時こうだったね」と思い出を共有できる。それが童謡や昭和歌謡の役割なのかなと思います。

 -「世界に一つだけの花」(SMAP)「栄光の架橋」(ゆず)などの平成ポップスもありますね。

 中村 「世界に一つだけの花」は学校の音楽の定番曲ですし、紅白歌合戦の大トリでも歌われた日本のスタンダードなので。SMAPさんは5人が同じメロディーを歌う斉唱ですが、ハーモニーをつけてお届けしたらどうなるかなという興味もあって選びました。選曲はスタッフさんと約800曲の中から2年がかりだったので、どの曲も自信をもってお届けできます。

 -クラシック界や和楽器界は空前のイケメンブーム。「コノハ」の男性4人もなかなかのイケメンです。

 佐藤 そ、そうですね…、僕は分かりませんけど(汗)。

 中村 男性陣の見た目は大事ですからね。全員、顔採用だと思います(笑い)

 佐藤 将来性と言ってほしい(笑い)。でも、クラシックや楽器系は本当にイケメン多いですよね。芸大の邦楽科にもジャニーズの子が入学してニュースにもなりましたし。

 中村 見え方も大事な時代です(笑い)

 佐藤 頑張ります。

 -3月5日には東京・銀座のヤマハホールでコンサートですよね。

 中村 合唱といえばコノハ、と言われるような身近な存在になりたいので、みんな張り切っています。私たちのハーモニーをぜひ聞いていただきたいです。

 ◆「アンサンブル・コノハ」 ミュージカルなどで活躍する音大出身者8人で15年に結成。グループ名はCO(こころ)NO(の)HA(はな)から命名。中村、佐藤のほか、メンバーは池松日佳瑠(東京音大)遠藤友歌里(東京芸大)齊藤亜里紗(フェリス女学院大音楽学部)田中秀哉(武蔵野音大)杉浦奎介(東京芸大)竹内將人(東京芸大)。