TOKIO長瀬智也(38)が、新作映画「空飛ぶタイヤ」(本木克英監督、来年公開)に主演することが5日、分かった。「半沢直樹」「下町ロケット」などで知られる作家池井戸潤氏(53)が、06年に発表した同名小説の映画化。事故や不祥事を隠蔽(いんぺい)しようとする大手自動車メーカーに立ち向かう運送会社社長の苦闘を描く。原作小説は実際に起きた事件をもとにしており、長瀬にとって、骨太の社会派エンターテインメント映画は初挑戦となる。新境地挑戦となるが、「役の年齢と近いこともあり、共感できる部分が、たくさんありました。社会へ勇敢に立ち向かう役をいただき、とても光栄に思います」と話している。

 主婦が死亡した脱輪事故を起こしたトラックを所有する運送会社の社長は、整備不良を疑われ、世間やマスコミからバッシングに遭う。製造元の大手自動車メーカーに再調査を要求するが、遅々として進まず自分の足で調査を始める。会社や家族を守るために大企業に立ち向かい、真実を明らかにしていく。理不尽な状況にもめげることなく、正義を貫く主人公の姿が多くの読者の共感を呼び、直木賞候補作にもなった。09年にWOWOWが連続ドラマ化もしている。

 長瀬は多くのドラマや映画で、キャラクター性の強い役柄を演じてきた。作品はコミカルであったり、シリアスであったりしたが、今回ほど社会性の強い作品は初挑戦。窮地に追い込まれ、無力感や孤独感も背負いながら、闘い続ける。製作側は、長瀬の起用について「仕事に対する情熱と、人を大切にする温かさ、全体を見渡すことのできる冷静さなど、キャラクターの全てが、自然と主人公の赤松に重なりました」としている。これに対して長瀬は「僕はいつも通り、本気でやるだけです」と話している。

 多くの池井戸作品が映像化されているが、映画化は初めて。今月中旬にクランクインする。