今年10月2日スタートのNHK次々期連続テレビ小説「わろてんか」のヒロインが9日午前、制作の同大阪放送局で発表され、アイドル活動を経て今春、慶大に進学が決まっている葵わかな(18)が会見し「やってやるぞ!」と、笑顔を見せた。

 「昨日言われたばかりで、まだ受け止められませんが、今、この光景を見て、いよいよ夢じゃないと分かってきました」

 言葉とは裏腹に、18歳とは思えない落ち着きを見せて、ヒロインとしての第一声を口にした。ドラマの鍵は「ど根性」だ。

 「どんなにつらくてもめげない自信はあります。今までもつらい、悔しい思いを活力に変えてきたので、朝ドラのスケジュールが厳しいと聞きますが、不安は一切なく、むしろ(ヒロインを)50歳までできるのは、なかなかないことなので、やってやるぞ! というか、ワクワクの方が今は強い。なので、ど根性はあるんじゃないかと思います」

 葵には18歳らしからぬ芸能キャリアがある。現在放送中の「べっぴんさん」ヒロインの芳根京子とは、「表参道高校合唱部!」で共演した縁もある。小学5年から芸能活動をし、アイドルユニット「乙女新党」を経て、今春、慶大進学を決めた。

 「4日前に高校を卒業して、大学は入学式もまだなので、とりあえず入学式に行ってみてから(休学などは)考えたい。今までの経験が、ようやく恩返しができる立場に立たせていただいたので、アイドル経験で培ってきたように、周りを明るくする力を出していけるのではないかと思う」

 ヒロインの藤岡てんは、夫の遊びグセに悩まされながらも吉本興業を創業した「吉本せい」がモデル。後藤高久チーフ・プロデューサー(51)は、ヒロイン・葵の決め手に「おっさんを前に肝が座っているし、漠然とですが、彼女なら過酷な現場を乗り越えられる、と。伸びしろがものすごい」と語った。

 前日8日、最終面接と称して来阪した葵は、会議室に監督、プロデューサーらを前にして「次からもっとこうした方がいいと言われ、ダメだったんだ、と。そしたら『あなたです』と言われた」と振り返った。

 さらには、その後、「ものまねをしてくれ」とムチャぶりをされたそうで、その場で、Eテレの猫のキャラクター「ニャンちゅう」のモノマネを披露したそう。ところが、まったく受けず「友達の前でやったら、絶対笑うのに、誰も笑わなかった」と、自信作の不発にも動じることはなかったようだ。

 そんな葵に、後藤氏が「これ(記者会見の記者)もエキストラだよ」とふっかけてみても「え? そんなことあったら、大変でしょ」。公式の場でいじられても、堂々とした切り返し。実は、この会見前、大阪の番組らしく、後藤氏から「登場するなり、こけてみようか」と言われていたが、それも受け流していた。

 朝ドラ3回目のオーディションで射止めたヒロイン会見の晴れの場。満面に笑みを携え「『わろてんか』はオーディションの段階からコメディーだと説明されていたので、朝から視聴者の皆さんに心をウオーミングアップしてもらえるようなドラマにしたい」と抱負も口にした。

 吉本の笑いについて、葵は「東京で新喜劇を見たことがあって、おもしろかった。名前は分からないけど、ギターを手にしたチンピラのような格好の…」と、吉本新喜劇の松浦真也をお気に入りにあげた。

 “通”な推しメンに、大阪で生まれ育った後藤氏は、葵に「笑いのDNA」を感じており「まずは、方言の勉強と、ずっこけから練習してもらいましょうか。最後、クランクアップの時には漫才ができるぐらいになっていてほしい」と話した。

 ドラマは、大阪が最も活気にあふれていた大正時代の「大大阪」がメーン。京都の老舗薬種問屋に生まれたヒロイン・藤岡てんが、大阪・船場の米穀商の跡取り息子・北村藤吉と出会い、人生が一変。根っからのお笑い好きの藤吉にひかれ、親の反対を押し切って結婚。しかし、芸事好きの夫が家業を傾かせてしまい、ヒロインは夫の趣味を商売として再生させていく。

 葵は今後、大正時代の京ことばの練習から、着物での所作などを学び、5月半ばからクランクインの予定。