東映やくざ映画で活躍し、「十津川警部」シリーズなどテレビドラマでも親しまれた俳優の渡瀬恒彦さんが14日午後、多臓器不全のため東京都内の病院で死去した。72歳。兵庫県出身。

 16日、所属の東映が発表した。葬儀・告別式は親族のみで行う。喪主は妻い保(いほ)さん。

 発表によると、3月からの撮影に向けて準備していたが、2月中ごろ気胸を発症して入院加療。3月に入り敗血症を併発し多臓器不全で14日午後11時18分に息を引き取った。

 同社は発表の中で「渡瀬恒彦のファンの方々、撮影をご一緒させていただいたキャスト・スタッフの皆様から並々ならぬご声援をいただき、最期まで幸せな俳優人生を全うできましたことを心より感謝申し上げます」とコメントした。

 広告会社勤務を経て東映に入社。1970年に映画「殺し屋人別帳」で主役としてデビュー後、「仁義なき戦い」など東映やくざ映画で血気盛んな若者を演じ、一躍スターとなった。

 78年には「事件」「皇帝のいない八月」「赤穂城断絶」で数々の映画賞を受賞し、幅広い役をこなす演技派として評価を高めた。80年代も「セーラー服と機関銃」「天城越え」「時代屋の女房」「南極物語」といったヒット作で存在感を発揮。

 テレビではNHK連続テレビ小説「おしん」で主人公の初恋相手を演じて話題となった。「十津川警部」「タクシードライバーの推理日誌」といった2時間ドラマのシリーズや、連続ドラマ「おみやさん」で主演し、大きな人気を集めた。

 2015年、胆のうに腫瘍が見つかった後も、治療を受けながら精力的に仕事を続け、4月スタートのテレビ朝日系ドラマ「警視庁捜査一課9係 season12」にも出演予定だった。

 俳優の渡哲也は兄。俳優の故大原麗子さんと73年に結婚し、その後離婚した。