来年1月、それぞれの父が名乗っていた名前を継ぎ、親子3代で襲名する歌舞伎俳優松本幸四郎(74)市川染五郎(44)松本金太郎(12)が29日、東京・歌舞伎座で、写真家篠山紀信氏(76)による口上写真の撮影を行った。通常、口上写真はスタジオで撮るが、舞台で撮るのは初めて。

 2代目松本白鸚を襲名する幸四郎は「歌舞伎座の舞台で撮影するのは初めてだそうで、うれしゅうございます。今日は区切りの気持ちでいます」、10代目松本幸四郎を襲名する染五郎は「今日、多少ですけど実感しています」と、襲名に向けて始動を感じていた。

 8代目市川染五郎を襲名する金太郎は緊張ぎみだったが「去年の会見の時は実感が湧かなかったけど、今日少し実感が湧きました」。

 美少年ぶりが話題になっているが、と振られた金太郎は照れてしまったのか言葉が出なかった。染五郎が「悪くはないよね」と助け舟を出し、幸四郎が「長い無言の状態、不気味でしたね。俳優としてプラスに働いてくれるかどうか」と、冗談を交えながら期待の目で見守っていた。

 篠山氏は、50年前、CMで幸四郎を撮影した縁がある。坂東玉三郎、片岡仁左衛門、市川海老蔵、中村獅童ら多くの歌舞伎俳優を撮影している篠山氏だが、歌舞伎役者を撮ったのは幸四郎が初めてだった。篠山氏は「3人の中にいられるのは光栄。金太郎さんに子供ができれば4代並ぶことになる。その時まで生きていたい。写真を撮らせていただいて感動しています」。

 襲名披露興行は歌舞伎座の来年1月「寿 初春大歌舞伎」、2月「二月大歌舞伎」を皮切りに、全国各地で行われる。