お笑い芸人の鉄拳(44)の新作パラパラ漫画が完成し、29日、都内で制作発表会が行われた。

 故郷の長野県大町市を描いた新作のタイトルは「きらり輝く」。制作期間3カ月で描いた枚数は2381枚。映像にすると、尺は12年に発表し大ヒットした「振り子」の3倍超の、10分42秒に及ぶ大作となった。

 鉄拳は、2013年5月から信濃大町観光大使を務めている。今回、大町市からオファーを受けたことについて「観光大使らしいことが全然、出来ず、お役に立てていなかった。パラパラ漫画でお仕事が来たのは、うれしかった。スケジュールを3カ月、バーンッと取って書きました」と笑みを浮かべた。

 「きらり輝く」は、東京で挫折し、大町市に戻ったサラリーマンの大助が、会社の同僚で好意を抱いていた、みさきとLINEで交流を続け、大町市に遊びに来るよう呼ぶ恋愛物語。大町市からは「東京で疲れた人が、大町で癒やされる物語」というリクエストがあり、そこに初挑戦のテーマとなる恋愛を盛り込んだ。元マネジャーが、大町市でプロポーズした実話を参考に物語を作ったという。

 鉄拳は「(大助が)東京に挑戦したけれど、挫折して、田舎に帰り、彼女も来るという物語。(作品は)初の10分超えになりました。大町市は、山がすばらしいんですよ。日本で1番、風景のいい場所だと思います。いろいろな角度の写真や動画を見て描くのに、すごい時間がかかって」と、山を描くのにこだわったと強調した。ただ、牛越徹大町市長からは、鹿島槍ヶ岳を描くよう依頼されたが、誤って爺ケ岳を描いてしまったと打ち明けた。「爺ケ岳は上りやすいんで、そこから登ってほしいと描きました」と、自身の間違いをフォローした。

 現在、秋までパラパラ漫画の仕事が埋まっており、パラパラ漫画と芸人の仕事の比率は「99対1」だと笑った。一方で、かねてからパラパラ漫画を携えての世界挑戦の野望を語ってきた。「海外の人には、なかなかパラパラ漫画が理解されない。僕が持っていって、見せながら描くというパフォーマンスも考えています」と、海外で“パラパラ漫画パフォーマンス”に挑む構想も明かしたが「時期は未定」と苦笑した。

 制作発表会後には、一般向けのパラパラ漫画ワークショップも開催された。鉄拳は「教え方がヘタなんで、自力でやってください。好きなように描いてください」と言って、集まったファンを笑わせた。受講者の中には、鉄拳の友人や、「きらり輝く」のモチーフとなったプロポーズをした、元マネジャーの姿もあった。【村上幸将】