女優吉高由里子(28)が初めて殺人者を演じる主演映画「ユリゴコロ」(熊沢尚人監督、9月23日公開)に、松坂桃李(28)と松山ケンイチ(32)が出演することが9日、分かった。

 原作は沼田まほかる氏の同名小説。松坂は父の書斎から殺人者の記憶がつづられたノートを見つけ、秘密に迫ると同時に、自分の運命を狂わせていく亮介を演じる。松山は人に言えない罪や心の傷を抱える中、似た境遇の主人公(吉高)と出会い、孤独を埋め合うようになる洋介を演じる。

 松坂は現代、松山は昭和を生きる男を演じるが、2つの時代を通して、1人の女性(吉高)に心を揺り動かされ、2人とも人生を翻弄(ほんろう)されていく設定だ。熊沢監督は松坂の起用を「香り立つ芝居ができる、今、最も一緒にしたい俳優さん」とし、松山については「かねて絶大な信頼を寄せているから」と説明する。

 松山は昨年秋に撮影を終えた。「温かく、柔和で、暗くなりがちな役柄を演じるのは久しぶり。大好きな90年代の映画のにおいがする作品だなと思ったので、完成が楽しみです」。吉高との共演は3回目。「由里子ちゃんとの共演も願っていたことだったので、とてもうれしく思います」。一方、物語のストーリーテラー的存在を演じる松坂は吉高とは初共演。松坂は6月下旬から撮影に入る。「非常に不思議な本でした。ミステリーでもあるけど人間ドラマとしても深いところをえぐってくる」と話している。ほか、木村多江(46)佐津川愛美(28)清野菜名(22)清原果耶(15)が出演する。

 ◆映画「ユリゴコロ」 ある日、亮介(松坂)は余命わずかな父の書斎で、殺人者の告白文がつづられた1冊のノートを発見する。誰が何のために書いたのか。自分の家族とどんな関係があるのか。数々の疑念を抱きながらも、強烈にノートに引き寄せられていき、自分の運命を狂わせていく。一方、時代は昭和。人を殺すことが心のよりどころの美紗子(吉高)は、他人に理解されない、孤独な生活を送っていた。ある日、洋介(松山)と出会い、お互いの境遇が似ていることに気付き、孤独を埋め合うようになる。