トニー賞3度受賞のヒントン・バトル(60)を校長に迎え、吉本興業が世界的ダンサー育成を目指す「ヒントン・バトル・ダンス・アカデミー」の開校セレモニーが11日、1期生28人を迎え都内で行われた。

 吉本興業の大崎洋社長(63)は「吉本興業は創業105年を迎えますが、30年前に大阪に『なんばグランド花月』をオープンさせた。その時、昼はお笑い、夜はショーをやろうと考えた。英語もダンスの事も分からないのに、なんやったらお笑いの事も分からないんですが」とボケつつ、「ロサンゼルスでショーの出演者のオーディションをやった。その時、トニー賞を取ったヒントン・バトルというお兄ちゃんが来てくれるというので、ショーをラスベガスまで見に行ったのが最初です」とバトル校長との出会いを説明した。

 大崎社長は「珍道中だったので、一番前の席で爆睡してしまって、スタンディングオベーションの拍手で目が覚めた。そして楽屋あいさつに行って『なんばグランド花月』のこけら落としの『アメリカン・バラエティー・バン!』というショーに主演してもらった」と振り返った。「彼は開演の1週間前に来日したんだけど、演出家が彼のシーンを作っていなかった。かれは椅子1つとグランドピアノを要求して『さあ、やろう』と、17、18人の出る3つのシーンを作り上げた。ハリウッドのスターとは、こういうものなんだと感激した。下っ端だったから雑用やケータリングの水の用意をして、毎日、一番後ろの席で見ていたんですが感動した」と話した。

 そして「いつか吉本が世界で勝負できる芸能事務所になったら、世界に通じるダンサーを作ろうと思った。5年前に吉本が100周年を迎えた時に、ヒントンに『君の名前をつけたダンススクールを作ろう』と提案したら、快く引き受けてくれた。ヒントンと再会して、こういう風に発表できることは、すごく感慨深い。何年後かにはブロードウェーで公演をしたい。僕たちが一緒に作り上げたショーでブロードウェーでロングランをしたい。思いだけでプロジェクトが成功するとは思わないが、ヒントンに懸けた。一生懸命頑張ります」と宣言した。

 バトル校長は「光栄に思っています。僕は若い人を育てる情熱を思っている。僕が歩んできた道を全て教えて、どんなことでもできるパフォーマーを育てたい。視野を広く持てば、日本だけじゃなく世界で活躍できるダンサーになれる」と話した。