星野源(36)が第9回伊丹十三賞を受賞し、17日、都内で行われた贈呈式に出席した。

 星野はこの日、主催者側から「受賞していただき、ありがとうございました」とあいさつされると、深々と頭を下げた。そして、12分にも及ぶ、ロングスピーチを行った。

 「20代の半ばころ(伊丹さんの)DVDボックスを見た。大人になって、しっかり触れる伊丹さんの映画体験だったんですが『タンポポ』(85年)を見て、何て面白いんだ、こんなに面白いんだと痛感し、そこから自分の中で伊丹さんブームが起き、『伊丹十三の本』(05年)という本が出て読んだり『13の顔を持つ男』(07年)というDVDも見ました。こんなにすごい人なんだと…いろいろな活動をされているのを知り、おもしろなぁ、格好いいなぁと思いました。(中略)伊丹さんのいろいろな顔を知ることで、面白いと思うことならやっていいんだと思えた。伊丹さんは、遠くにずっと灯台のサーチライトのように明かりを照らしてくださっているけれど、大きな海が伊丹さんの島と僕の島の間には流れていて…追いかけようとした時期もあったけれど、そうじゃなくて『君は君の場所を作れ』と言われている感覚が出来た。20代後半から、どこかに属すより、やりたいことをやろう、1人前になろうと思って、どの仕事もやっていたら、こうして賞をいただいた。『それが君の場所だよ』と言っていただいているようで、うれしかった」

 伊丹十三賞は、映画監督、俳優、エッセイスト、デザイナー、イラストレーター、テレビマン、雑誌編集長など、あらゆる分野で才能を発揮し97年に亡くなった、伊丹十三さんの遺業を記念し、08年に創設された。第1回は糸井重里氏、第2回はタモリ、第5回は池上彰氏、第6回はリリー・フランキー、第8回は是枝裕和監督が受賞している。

 星野の受賞理由について、選考委員会は「音楽、エッセー、演技のジャンルを横断し、どこか息の詰まる時代に、エンターテイナーとして驚くような風穴をあけてしまった星野的表現世界に」としている。【村上幸将】