俳優長谷川博己(40)が、滞在24時間でカンヌ映画祭に初参加した。21日(日本時間同日)、黒沢清監督(55)松田龍平(34)とともに、「散歩する侵略者」(9月9日公開)が選出された「ある視点部門」のレッドカーペットと公式上映に臨んだ。

 上映前に取材に応じた長谷川は「来られたのが奇跡的。チャンスがあるなら来たいとずっと思っていた」と喜んだ。松田に「1日だけですよね」と言われると、長谷川は「まさに1日だけ。それでも来たかった」。上映数時間前に到着し、翌日の同時刻にカンヌをたつ。それでも「全部が楽しみ」と、スマートフォンで海を撮影する姿もあった。

 現在、TBS系「小さな巨人」(日曜午後9時)に主演している。合間を縫ったスケジュールだが、「小さな-」で共演中の香川照之(51)から「絶対行ってきなさい。大手を振って行ってきなさい」と勧められたことを明かした。

 香川も黒沢監督の「トウキョウソナタ」などでカンヌを経験している。長谷川は「香川さんが『朝ジョギングして戻ると、新聞に(前日の)劇評が出てる』と教えてくれました。僕は(評を)見る前に帰ってしまいますが」と笑った。

 長谷川は、18年前にプライベートでカンヌに立ち寄ったことがあるという。3月で閑散としており、そのままニースに向かい、風邪をひいた思い出も語った。

 経験者の松田、黒沢監督にとっても、刺激的な映画祭のようだ。デビュー作「御法度」(大島渚監督)で99年に参加以来、2度目の参加の松田は、公式フォトコールでの各国カメラマンの熱気に驚き「勢いがパワフル。にぎやかで楽しい」と話した。6回目の参加の黒沢監督も「フェスティバルと言っていますが、どれが1等賞なのかが注目されている。スリリングで怖い映画祭」と魅力を語った。

 同作は、同名人気舞台を映画化した。行方不明後、別人格で帰ってきた夫が、地球を侵略するために来たと告白する。松田は夫を演じ、長谷川はジャーナリストを演じた。妻役の長沢まさみはスケジュールの都合で参加できなかった。