狂言師・野村萬斎(51)の主演映画「花戦さ」(篠原哲雄監督、6月3日)公開直前会見が29日、東京国際フォーラムで行われた。

 千利休を演じた佐藤浩市(56)は、豊臣秀吉を演じた歌舞伎俳優の市川猿之助(41)に顔を踏み付けられるシーンについて話が及び、「もっと踏んで!!」と思いながら演じたと明かし、会場を笑わせた。

 佐藤は、形がある古典芸能をやっている人と対照的に、自身は「今、僕のようにある年から形を崩す人間」と位置付けた上で「形というものの美しさ、大事さを感じながら時代劇をやった」と撮影を振り返った。

 その上で佐藤は、自身が猿之助に頭を踏まれたシーンについて「僕の頭を、猿之助君が踏んでくれる。形の大事さの中で(演技が)出来るんだろうけど、僕みたいな路傍の石ころみたいなやつは、ちょっと圧がかからないと出来ない。猿之助君にも『もっと踏んで!! もっと踏んで!!』って…違う風に取られてしまうかも知れないけど、お願いをさせていただいた」と苦笑した。それを聞いた、織田信長役の中井貴一(55)も「佐藤さんがMだと言うのは、何となく長いつきあいだから分かった」と笑った。

 猿之助は「大先輩の佐藤浩市さんの頭を踏み付ける、本当に嫌な役。何でこんな役を…と思った。役だから、しょうがないですよね。心の中で、ごめんなさ~いと言いながらやっているんですけど。本当にいい経験をさせていただきました」と苦笑した。【村上幸将】