韓国出身のオペラ歌手べー・チェチョル(47)が19日、東京・渋谷区のBunkamuraオーチャードホールで、日本メジャーデビューアルバム「THE SINGER」の発売記念イベントを行った。

 「アジアのオペラ史上最高のテノール」と称されながらも2005年(平17)10月、甲状腺がんであることが判明。摘出手術で声帯と横隔膜の両神経を切断し、歌声に加えて右側の肺の機能まで失い、一時は声楽家としての道を絶望視された。だが、多くの日本人ファンの支援で、翌年に音声外科医の世界的権威、京都大学の一色信彦名誉教授による手術を受け、厳しいリハビリによって見事に舞台復帰を果たした。

 開演前には「今日は、心血を注いで作ったメジャーデビューCDの発売記念コンサートですので、気持ちも高まっていますし、日本の皆さまのためにも素晴らしいコンサートにしたい」と意欲満々に語った。そこに、ファンのマジシャンMr.マリックが花束を持って祝福に駆けつけた。

 公演では、アルバム収録の「枯葉」(フランス語)や「見上げてごらん夜の星を」(日本語)「赤とんぼ」(日本語)など11曲を熱唱。

 アルバムのレコーディングにも参加したギタリスト・アントニオ古賀がゲスト出演し、美空ひばりの「悲しい酒」のギター伴奏を行った。