野際陽子さんがお亡くなりになりました。死去が明らかになった15日。関連記事を書くために過去の日刊スポーツ記事を読み返してみたら…。20年以上も前、私のインタビューに答える含蓄に富んだ言葉の数々を見つけました。

 まずは結婚観について。73年に千葉真一と結婚し、21年後に離婚をしました。まったく結婚願望がなかったそうです。結婚を決断した理由を「それまで好きなように生きてきたから、自分以外の人のために生きる時間があっても面白いかなって」と説明しています。何というユニークさ。結局離婚をしてしまったことを「ばかなことを考えて結婚をしたから」と振り返っていました。予想と違って、結婚生活は面白くはなかったようです。 ただ、結婚そのものについては反対論者ではなく、「1度はした方がいい」という考え。取材をした私にも勧めていました。

 結婚はハードルが高くて踏み切れず、その前段として同居を考えている人へのアドバイスもありました。「相手の家に行くことを勧めます。嫌になったら出てきちゃえばいいから。自分の家に来られたら追い出すのが大変でしょ」。まさに、その通りです。

 若いころから演劇を学び、フランス文学への造詣が深い。知れば知るほど理知的な人です。2013年には、特定秘密保護法の制定に関して反対の意思表明をしています。

 くしくも、死去が明らかになった15日は、同法と似た性格を持つ「共謀罪」法が成立した日です。

 偶然の一致でしょうが、泉下でどう思っているのでしょうか。