俳優藤原竜也(35)が、舞台「アテネのタイモン」(彩の国さいたま芸術劇場大ホール、12月15日から)に出演することが12日、分かった。故蜷川幸雄さんが芸術監督を務めた「彩の国 シェイクスピアシリーズ」の第33弾作品(37作品中)で、蜷川さんの遺志を受け継いだ吉田鋼太郎(58)が演出、主演を務める。15歳で蜷川さんに才能を見いだされ芸能界入りした藤原が、天国の恩師が果たせなかった思いを遂げる。

 「アテネの-」は、シェークスピア作品の中でも難解とされるものの1つだ。藤原が演じるのは、アテネの哲学者アペマンタス。吉田演じる太っ腹な貴族タイモンを皆があがめる中、ただ1人、忠告、否定する役どころだ。

 吉田は蜷川さんの生前の意向に沿い、昨年、「彩の国-」の2代目芸術監督に就任した。学生時代にシェークスピア研究会に所属していたというマニアで、「人間は人間に対して何ができるのか、を問う、おもしろい作品です」と作品を評価している。“蜷川チルドレン”の藤原は、そんな作品の成功に不可欠だった。「蜷川さんが大切にしていた俳優の代表格である彼には、ぜひ参加して欲しい」と、昨夏に直接オファーをしたという。ほか、横田栄司、柿沢勇人が出演。

 藤原も「蜷川さんが最後まで果たせなかったこのシリーズを鋼太郎さんが完結してくれれば、蜷川さんも喜んでくれると思う」と、やりがいと責任を感じている。蜷川さんは、天国から見守っている。